小麦色のサントリナ 【オリオンの刻印】

48，豹変２ ページ49

アスは稲森と灰崎の方へ走っていく。彼らも構えるが先程と同じ音と光に襲われ、棒立ちのような状態で抜かれてしまった。だが鬼道の「気を付けろ」という声のおかげで転倒は免れた。霞む尻目に灰崎は光の犯人を探す

「どこからやってやがる…！」

アスはサタンにパスを出すも背後からは吹雪と風丸が迫る。ワンチャン″ザ・ハリケーン″を期待してもいいだろうか、いや無理だ、そんな期待が散るとともにサタンはシュート体制に入った

「"タイムトランス"！」

紫色のどんよりとしたシュートが放たれた。本日3度目のそれに円堂も今度こそはと意気込む

「"風神雷神"！」

赤と緑の胸を張った魔神達が現れ1度はシュートを止めた。しかし後からまた追撃のようにサタンからボールが打たれそれを止めることは出来なかった。おそらくこれもヒプノシス、だったら目を閉じてガードすればいいのにと強く思ってしまう

【ゴオォォル！キーパー円堂、今日は不調なのか？技を出すタイミングが完全にズレているぞ！】

「どうすればあれを止められるんだ！止められないのか？止める方法はないのか＿＿」

円堂は拳を握りしめて自問自答を繰り返す。夏未はそんな様子を懐かしそうに微笑んで見守っていた。きっと当時のことを思い出しているのだろう。「絶対に探し出してみせる！」と彼が決意するまでに行き届くと、その笑みはより深く優しいものになっていく

『今、リア充の気配がしたような＿』



「鏡を使っているのか、誰がやっているのかは特定出来なかった」

「俺もだ。…卑怯な手を使いやがって」

「たとえ目を閉じていても同じだろう。ゴーグルをしていても眩しさを感じた、あれは鏡ではなく一種のレーザーだ」

「レーザー光線だと！？」

正規の大会でこのような事態、困惑するのは当たり前だった。徐々に沈んでいく彼らの表情にさらに追い討ちをかけるように稲森は言った


「俺、敵選手がいない方から光を当てられたような気がしたんです」



「そろそろかな」
驚愕している彼らを面白おかしそうに眺めているサタンはぽつりと呟く。そうして左が重心だった頭を中心に動かし、ガクガク震えだすと瞳孔は開き髪は当初よりも更に真っ赤に染まり上に逆立つよう豹変した


「迷える子羊は麻呂が迷うことなく地獄に送っててててやるよ〜！カカカカカッ！」

壊れた人形のように機械的で手をバタバタと動かす様子は正に狂気。先程までのイケメン要素が消えた瞬間だった

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