37,匂い ページ38
歯がゆい思いの鬼道はジムへと向かう。そこからは一通り筋トレを終えた西蔭が出てきた。西蔭は突然の彼登場に驚くも、彼の口から頼みがあると言われると直ちに姿勢を正した
「一星から目を離すな」
ゴーグルのレンズが反射して光る。そんな真剣な表情に西蔭も「はい」と返事をした。何か思いあたる節があったのだろうか。だが同時に彼女の姿が目に浮かんだ
「…黒裂も監視すべきでしょうか」
彼女もFFには出ていなかった、と続ける
「いや、彼奴はデータを調べたら普通に出てきた。気になるものもあったが問題はないだろう」
一星充。データもなくただただ怪しい彼に彼らは厳しい表情を浮かべた
_____________
時は夕食に戻る
神門からアマゴの塩焼きを受け取った黒裂は1人それを箸でつついていた
「お隣いいですか?」
そんな彼女にいい笑顔で話しかけるは一星。夕食の入ったトレーを持ちながら器用に椅子を引くと手を合わせて食べ始めた
『何か良いことあったの?』
先程から笑みを絶やさない彼にそう尋ねると、待ってましたと言わんばかりに反応する
「実は僕、スタメンに選ばれたんです!」
『えっ!良いなぁ』
しかし直ぐに顔を暗くさせる彼はいかにも″何かありました″というもので、それについて彼女が尋ねると円堂との一連、鬼道に掴み上げられたことを話した
「本当に僕じゃないんです…でもあの状況を見れば誰だって僕を疑いますよね…」
『そんなに気を落とさなくても大丈夫だ__』
慰めようと背中をぽんぽんと叩いたのだが、その時に違和感を感じた黒裂は声と手が同時に止まった
『…一星君、何か焼いた?』
彼の眉がピクリと動く。しかし顔を伏せているせいで誰にも気付かれることはなかった
『何か焦げ臭い匂いがするから…』
彼の脳裏には、先程裏で燃やした円堂からのタオルが浮かんだ。それと同時に自身のライターを部屋に置いてきて良かったと安堵する。だがこの状況をどうしたものかと錯誤していると、彼の近くに丁度都合の良いものがあった
「その魚の匂いじゃないでしょうか…?」
そう言って黒裂の魚を指差すと、焼きたてのそれは確かに香ばしい匂いを放っていた
『そうかも。急にごめんなさい』
「いえ、良いんですよ」
またしても助かったと一星は安堵した
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聖羅(プロフ) - おぉ、非リア同盟はキーワードなんですね!注目して読まなければ…笑 (2019年2月18日 17時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
良子(ラッコ)*(プロフ) - 聖羅さん» わざわざパート1の方にコメント頂きありがとうございます!センスなどと大層なお言葉、胸がいっぱいになりそうです!非リア同盟は、わりと本編に関わってくるので是非とも注目して頂きたい。これからもどうかよろしくお願いします! (2019年2月18日 15時) (レス) id: 333bfe8339 (このIDを非表示/違反報告)
聖羅(プロフ) - シリアスな雰囲気の中にこっそりネタを入れてくるあたりセンスが凄いですね!非リア同盟のくだりは笑いました笑 これからも頑張ってください! (2019年2月16日 20時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
良子(ラッコ)(プロフ) - ぴぽさん» ありがとうございます!可愛いと言っていただけて嬉しいです!日々精進致しますので、これからもよろしくお願いします (2018年11月29日 7時) (レス) id: efb7d8eaad (このIDを非表示/違反報告)
ぴぽ - イラスト可愛いです!なんかさらに上手くなってませんか!?これからも頑張って下さい! (2018年11月27日 0時) (レス) id: 8ec037955c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:良子(ラッコ)* x他1人 | 作成日時:2018年10月20日 16時