92，淡い盾 ページ48
「惜しい!」
「あとちょっと進めばFWにボールが行ったのによぉ!」
剛陣と坂野上が膝を叩いて言った。皆、その通りだと思っている。だが吹雪は、吹雪だけは違った
(キミはここで、成長しなければならないんだ)
頑張れ、そう伝わってくるように熱のこもった目で黒裂を見る
『駄目…』
悲しげな瞳が印象的だった
「お前、"さっき逆サイドだったから取れなかった"って思わなかったか？」
黒裂からボールを奪ったダストは、煽るような笑みを浮かべてゴール前から西蔭に話しかける
「何…」
「安心しろ。次は正面から打ってやるよ!!!」
大きく息を吸い込み、テノールを響かせる。魂たちがボールに集まる
「"レクイエムダス──ト"!!」
金色に光り輝く、魂の集合したボールがゴール一直線に流れていく。本当に真正面である。てっきりハッタリだと思っていた
「───抜かせはしない…!」
珍しく、西蔭が声を張り上げた
2つの拳を握りしめ、赤いオーラに包まれる。その拳が合わさるとき、大きな光が包み、淡く光る盾が現れた
「"王家の盾"!!」
その盾と、魂のシュートは真正面にぶつかった。ギリギリと震えながら西蔭は耐えている。だが、長くは保たなかった
「･･･っ!!」
光り輝く盾は、ステンドグラスのようにパリンと割れた。悔しさと驚きでその場に座り込んだ西蔭は、拳を振り上げて地面を叩く
「俺の出る幕は無さそうだな…」
フンと鼻で笑いながら、フィールドを一瞥する一星。これには誰も言い返せまい。円堂、鬼道、豪炎寺、彼らに引っ張られているだけのチームだったのだろうか
「俺は点を取られた事を戦術のせいにして、自分を正当化していたのか…?」
西蔭は自分で言い、自分で気づき、自分でわからなくなった。自分の持ち場へ戻る際にニヤリと笑ったダストの顔が頭から離れなかった
野坂さんと一緒にフィールドに立ちたい
「野坂さん＿」
きつく目を閉じて咆哮した。フィールドに響き渡る彼の声に誰もがその歯がゆさに震える。普段から色を見せない彼の、珍しい行動だった
それとは打って変わり、会場前では黒塗りの綺麗な車が一台。そこから1人の男が出てきた。言わずもがな空港から移動してきた彼だ。腕に"イレブンバンド"を巻く
視線が下から上に移動する
くすみがかったマゼンタの髪、灰色の目。生気のない目と言われがちだが、果たしてそうだろうか。今は闘志に燃えているようにも見える
「ただいま」
野坂悠馬。スタジアム前にての一言である
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Setsuki.(プロフ) - 良子(ラッコ)*さん» なんか、1年生なので童顔を意識したら小学生くらいになってしまいました笑 応援、ありがとうございます！なんか勝手にふざけたの描いてごめんなさい汗(リア充見た時の顔とか…←)私も、良子さんのこと応援してます！頑張ってください！ (2019年5月16日 20時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
良子(ラッコ)*(プロフ) - Setsuki.さん» ありがとうございます！細身の綺麗な雰囲気で書いて下さって、線とか、画力の高さが目にしみます･･･。何気にイラスト書いて貰ったの初めてで、こうも嬉しいものなのかと目頭が熱くなっています。Setsukiさんも絵師としても、執筆者としても、応援しますので頑張って! (2019年5月16日 18時) (レス) id: 8f91876c31 (このIDを非表示/違反報告)
Setsuki.(プロフ) - 白黒で申し訳ないです。ごめんなさい (2019年5月15日 22時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Setsuki.(プロフ) - http://uranai.nosv.org/img/user/data/b/4/7/b47f19bd8787bd22a00ed67eeed75d36.jpg.jpg (2019年5月15日 22時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Setsuki.(プロフ) - 良子さんどうも！大変遅くなりましたが、この小説の黒裂ちゃんが完成しましたので報告しに参りました！URLはここに載せておきますね！ (2019年5月15日 22時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：良子(ラッコ)* x他1人 | 作成日時：2018年12月8日 23時
