Anniversary.1 ページ1
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「ねぇ、轟くん。」
彼女はいつも家に帰るとご飯を作って待って居てくれる。笑顔で出迎えてくれて、一日の疲労感も忘れるほどに可愛くて可愛くて仕方がない。
そして甘えてくる姿なんて天使級だ。
そんな彼女は膵臓癌からの全身転移で余命3ヶ月。
いつ亡くなってもおかしくないのだ。
それなのに彼女はいつも笑顔で生き生きとしていて、本当に癌なのかと疑わせるくらいだ。でもそれは突然にやってきて、最近よく病院へ運ばれるようになった彼女。
医師と相談して入院も視野に入れたが、彼女は頑なに断っている。俺は今日、その理由を聞こうと思っていた。のだが。
「A。名前。」
「え？あ、えっと、焦凍……くん。」
目を泳がせて頬を赤らめて俺の名前を呼ぶA。世界一可愛いだろう。
「合格。」
そう言って俺は軽く微笑み、Aの唇に触れるだけのキスをする。いつAが居なくなるか分からない。言いたいことは直ぐに言う。やりたい事は直ぐにやる。それが俺たち2人が決めたルールと言うやつだった。
“また今度”そう言って先延ばしにしていれば、いつの間にか時間は亡くなって、後には後悔しか残らなくなる気がするから。だから俺は言いたい時に好きだといい、したい時にキスをする。
それが俺の、俺たちの愛情表現だった。
でもそれはある日突然来るもので。
「ぐふっ……！」
Aの口から吐かれたそれはびちゃびちゃと床に飛び散る。赤い液体は服にもこべり着いた。Aは苦しそうに倒れ込み、俺は急いで救急車を呼んだ。
先生が言うには死期が近づいて来ているそう。
そんなことは考えたくなかったが、これが現実だ。
「今日は様子見で一日入院して貰います。轟さんには明日迎えに来てもらいます。」
「分かりました。では一日よろしくお願いします。」
俺は募る不安な気持ちを押し殺し、病院を後にした。
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Nao(プロフ) - 桧さん» 素直な感想ありがとうございます！思わず笑っちゃいました笑 (2021年9月13日 22時) (
レス) id: 5e22ad68da (このIDを非表示/違反報告)
桧 - 好きです。 (2021年9月11日 14時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - シュラスさん» ありがとうございます！！嬉しいです！ (2020年2月9日 15時) (レス) id: 9cbd37a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
シュラス - とても良い小説でした！もっと書いて欲しいです!！他の小説も、勿論読みます！ (2020年2月9日 14時) (レス) id: 7e1b00660a (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - ももさん» 夢主ちゃんとの子供ですよー！細胞を冷凍保存していたので、それを解凍して人工授精させて、代理出産と言う医療法が実際にあるんです。それを使わせていただきました。 (2020年2月1日 10時) (レス) id: 9cbd37a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nao | 作成日時：2020年1月21日 23時
