80☆審神者視点☆ ページ48
起きて、という声で目が覚めた。
普段は余程のことがなければ朝まで起きないのに、囁くような声であるにも関わらず審神者は体を起こした。
審神者「…だれ？」
襖越しでくぐもった声の主。
こんな夜中に、一体誰なのだろうか。
審神者は警戒しながら、襖を開けた。
喉の奥から、あぁ、と声が漏れた。
目の前に立って月明かりに照らされているのは、紛れもなく『結さん』の姿だった。
審神者「…ゆ、いさ…？」
結「ふふ、久し振りね」
目の前でにっこりと微笑む結。
でも、彼女は数年前に死んだはず。
どうしてここに？
しかし、そんなことはどうでもよかった。
この微笑み、別人な訳がない。これは結本人であると審神者は判断した。
審神者「結さん…！」
審神者は彼女の肩に触れようと、手を伸ばした。
だが。
突如横から、時間遡行軍の大太刀が現れ、審神者の頭を鞘で殴り付けた。
審神者「！」
審神者は勢い良く布団の上に倒れ込んだ。
しかしまだ審神者に意識はあり、苦しそうに唸りながらも護身用の木刀を掴んで大太刀に突き付ける。
結「あらぁ。すぐ気絶すると思ったのに、やっぱり貴方って結構頑丈なのね」
審神者「っ、結さ、ん…なんで…」
結「後でゆっくり教えてあげるわ。さ、死なない程度にやってあげて」
結が静かに言うと、大太刀は刀剣を握り、周りの物を斬り倒しながら近寄ってきた。
刀の方はただの脅しなのか、鞘を右手に持って構えている。
殺されはしないようだが、気絶した後に何をされるか分からない。
審神者は必死に回避しようとするが、頭を強く殴られたせいで足元がふらつき、呆気なく二度目の攻撃を食らってしまった。
＊＊＊
審神者がはっと目を覚ますと、そこは大太刀の肩の上だった。
猿ぐつわを噛まされて担がれている審神者は、遠ざかっていく本丸を見て青ざめた。
必死に抜け出そうとしたが、左腕が抜けただけで他は全く動かない。
気付いていないのか、刀剣男士も追って来ない。叫ぼうにも、猿ぐつわのせいでくぐもった声しか出ない。このままでは攫われてしまう。
懐から、ちゃり、と音がした。
そこで審神者は、懐に寿のペンダントが入っていることを思い出した。
風呂から出たら渡そうと思って入れたまま忘れていたのである。
オーダーメイドの、世界に一つしかないペンダント。
これで、
これで、気付いてくれるなら。
審神者は左手でペンダントを出し、腕を伸ばしてそれをこっそり地面に落とした。
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そると@受験生(プロフ) - いつの間に沢山のコメントありがとうございます！これからも頑張りますぞ〜(*｀･ω･) (2017年3月31日 18時) (
レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
あやとり猫(プロフ) - 初コメ失礼します!! シリーズを見つけて1章から飛んできました!!面白すぎて涙が出ました(勿論感動でも出ましたよ!!) 鶴さん…みかち…ジジィが尊いことはわかりました(( そして遅くなりましたが続編おめでとうございます!!更新ゆるりと楽しみにしております!!(*＾▽＾*) (2017年3月20日 1時) (レス) id: ace5edcb89 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - 続編おめでとうございます！！鶴丸さぁあん！！！ついに....！ついに....！恋をした！！！！短編も楽しみにしとりますぞ！！！ (2017年3月19日 20時) (レス) id: d9abe7bbeb (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - やったいちこめだやっふぃ！！！！続編おめでとうございますありがとうございます、いつも楽しみにしてます！ (2017年3月19日 20時) (レス) id: 2ca1777b5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そると | 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月18日 11時
