50☆審神者視点☆ ページ19
僕には奥さんがいた。
いる、じゃなくて、いた。
過去形。
彼女の名前は『結(ユイ)さん』と言った。
出会った時からずっと、僕は彼女のことをそう呼んでいる。
「長い付き合いなんだから、さん付けで呼ばなくても良いんじゃないの？」とよく言われたが、あちらの方が歳は上。
何より、この呼び方に慣れてしまっていたため、今も直すことが出来ていない。
結さんに初めて会ったのは、十年ほど前の初秋の日。
町の路地裏で、気を失っているところを助けた。
結さんが。
そう、助けられたのは僕。
ヤのつくお仕事の人達に絡まれ、路地裏に引きずり込まれてフルボッコにされたのだ。
そして頭を殴られて失神していたところを発見され、彼女は自分の家まで僕を連れて行ってくれたらしい。その時はそう教えて貰った。
それが、審神者である結さんとの出会いだった。
そもそも、僕と審神者という存在は全く関係が無かった。
ド田舎で一人暮らしをしていた僕は、毎日片道徒歩二時間かけて町へ出稼ぎに行っていた。
そんなに時間をかけるなら町で暮らせば良いじゃないか、という話なのだが、実を言うと僕もそう思って町に住んでいた時期がある。
始めは順調だった。
だが、僕がよく留守にするヘタレということが他に知れると、三日に一回のペースで泥棒や強盗に遭うようになった。泥棒界でリストでも回っているのだろう。
僕は思いっきり泥棒のカモになったらしく次々と家のものが無くなっていった。
そんな訳で、町で暮らすことを諦めたのだ。
話を戻そう。
本丸まで連れて行かれた僕は、怪我をしていて家に帰ることが出来ず、しばらくその本丸に滞在させて貰っていた。
そこには初めて見るものが沢山あった。
その感動は今でも覚えている。
勿論、一番の驚きは刀剣男士との出会い。
初めて顔を合わせたのは山姥切である。
町から本丸まで僕を背負って行ってくれたのは彼だったそう。
始めに刀剣だと言われた時は流石に信じることが出来なかったが、周りを見渡せば、髪も目も非常にカラフルなのにしっかり日本語を喋る人達。
始めは何のドッキリかと思った。
しかし彼らはカラコンもヅラも使っていない。
しかも重要文化財のはずの刀を持っている。信じざるを得なかったのだ。
そしていつしか、僕は毎日結さんの本丸に通うようになっていった。
そしていつしか、僕は結さんに惹かれていった。
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そると@受験生(プロフ) - いつの間に沢山のコメントありがとうございます！これからも頑張りますぞ〜(*｀･ω･) (2017年3月31日 18時) (
レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
あやとり猫(プロフ) - 初コメ失礼します!! シリーズを見つけて1章から飛んできました!!面白すぎて涙が出ました(勿論感動でも出ましたよ!!) 鶴さん…みかち…ジジィが尊いことはわかりました(( そして遅くなりましたが続編おめでとうございます!!更新ゆるりと楽しみにしております!!(*＾▽＾*) (2017年3月20日 1時) (レス) id: ace5edcb89 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - 続編おめでとうございます！！鶴丸さぁあん！！！ついに....！ついに....！恋をした！！！！短編も楽しみにしとりますぞ！！！ (2017年3月19日 20時) (レス) id: d9abe7bbeb (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - やったいちこめだやっふぃ！！！！続編おめでとうございますありがとうございます、いつも楽しみにしてます！ (2017年3月19日 20時) (レス) id: 2ca1777b5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そると | 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月18日 11時
