悪夢 ページ48
この本丸にやって来て、一週間程経っただろうか。
全員でやり過ぎなくらい対策をしたために、インフル騒動はウイルス扱いをされた鶴丸の心が若干凹むだけで、早めに終わらせることが出来た。
が。
鯰尾「おーい、おーいってば!」
鯰尾の声で我に返る。
いつの間にか木刀を肩に当てられていたらしい。
骨喰「どうした。近頃動きが鈍っているが」
骨喰の行っていることは事実。
別に体調が悪い訳ではないのだが、最近体がどうも動かないのだ。
体が全体的に重く、目のピントが合いづらい。
自慢であった聴力もガタ落ちしている。
眠ると、必ずと言って良いほど悪夢を見たりもする。
鯰尾「具合が悪いなら、無理しなくても良いんだよ?」
貴方「いや…別に」
鯰尾のAをねぎらう声に応えると、Aは包丁を構え直した。
振り下ろされる木刀を受け止めて避けるが、ついよろけて片膝をついてしまう。
見かねた骨喰は首を横に振って、Aに部屋で休むよう言った。
貴方「…」
動けないのは事実だ。こんな状態で練習しても意味は無い。
鯰尾「寝不足かもしれないね、しっかり休みなよ」
骨喰「主にも伝えておく」
心配そうに声をかけ、Aの背中を見る二人。
…の、後ろで様子を見ていた石切丸と太郎太刀は、そっと顔を見合わせた。
***
また同じ夢を見た。
薄暗い路地裏をひたすら駆け抜ける。
後ろから何かが追って来ているのだが、振り向いてはいけない気がした。
来るな!
そう叫んでも、喉から出るのはかすれた呻き声のみ。
分かれ道で左に曲がると、そこは高い壁がそびえ立つ行き止まりだった。
壁をよじ登ろうにも、高過ぎて登ることはできない。
ゆっくりと後ろを向く。
そこにあるのは、得体の知れない黒いもや。
少しずつ、音も立てず近付いて来る。
嫌だ。来るな。近付くな。
そんな思いも届かず、徐々に、徐々に体を侵食していくもや。
どうせここで目が覚める。
そう思った時、
_____て!
声が聞こえた。
早____きて___!
聞き覚えのある声。
早く______て____下さ__!
聞き取れない。
すると何故か、突如、体全体を包んでいたもやが少し取れた。
『____早く起きて下さい!』
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そこら辺の水溜まりの水@不味い水(プロフ) - 作品を読もうと画面を見るとグロ画像がありしょっぱなから精神を抉られた、慰謝料を寄越せ (2018年5月12日 21時) (レス) id: 30224d1d1f (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - 御影さん» 包丁藤四郎!?そんな刀があるのですか…知りませんでした((((;゚Д゚))))大丈夫です、なっちまってません← (2016年9月22日 21時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
御影 - 先日徳川美術館で見てきた包丁藤四郎を思い浮かべてしまいましたよ(^-^;一応この話自体は簡潔してるみたいだしこれから読み始めるところなので(←おい)あり得ないでしょうが包丁藤四郎になっちまってるのかなぁー、と妄想しました! (2016年9月22日 17時) (レス) id: a473325dfe (このIDを非表示/違反報告)
アヤミ(プロフ) - りなほ@多忙さん» なにこの会話!!めちゃ入りたかった!! (2016年2月9日 19時) (レス) id: dcc37d5cfe (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - 綺羅さん» …続きはメールでしましょうねー (2016年2月6日 7時) (レス) id: a309352d54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りなほ | 作者ホームページ:
作成日時:2015年10月31日 13時