検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:59,479 hit

ラウンド27 ページ28

刀剣を構えて、廊下に立つ獅子王と石切丸。
獅子王、石切丸、青江以外の四人はそれぞれ兄弟同士で分かれ、違う場所に待機していた。


「…どんくらい経った?まだ出てこねぇのかな」

「三、四十分くらいだと思うよ。いつになるかは、ちょっと分からないね…」


その悪霊というやつが毎日出て来るのか、またどうやって出て来るのかは政府から知らされていない。こればかりはただ、待っているしか術は無かった。
早くも待ちくたびれた様子の獅子王に、石切丸は続けて言う。


「一応、日が出てきたら打ち切りにすると言っていたよ。それまでの辛抱だ」

「俺眠い…」

「けど、助けてあげたいんだろう?君の手で」


まあな、と獅子王は薄く笑って頷く。
あの人は、自分の体が忘れていた人間性を取り戻してくれた。次は自分があの人を助ける番だ。
そう思うと眠気は自然と去り、柄を握る手に力が入る。
それを見た石切丸は微笑んで、まるで孫でも見るような優しい目で獅子王を見ていた。一応獅子王もかなりおじいちゃんな訳なのだが。


廊下が薄明るくなってきた頃、青江の待ち伏せている方から何やら物音がした。
襖を開ける音。重みのある物が落ちるような、どさりという音。人が、力無く倒れたような音。
それを聞き付けた獅子王は、眉をぴくりと動かして呟いた。


「あれっ?ひょっとして…?」

「青江さん、一人で終わらせたのかな?」

「うわっ、マジかよあいつ…」


獅子王は苦笑いして頭を抱える。
青江はこちらに援助を求める声を発さなかった。多分退治に成功したのだろう。
作戦が成功したのは喜ばしいことなのだが…ここまで意気込んでいて出番を取られたというのは、獅子王にとって少々残念でもあった。


「まあまあ。手こずることなく終われたなら、それで良いじゃないか。行こう」

「お、おう」


石切丸に背中を押され、獅子王は刀身を鞘に納めながらAの部屋の方へ行く。
部屋の前の廊下には、誰かが倒れていた。多分Aなのだろうが、青江の姿は側に無い。


「あれ?青江さん?」


そう呼び掛けながら石切丸がAに近付いた時、獅子王は気付いた。
廊下に倒れ伏しているのは、Aではなかった。

青江だった。



「…お、おい、青江!石切丸それ、主じゃない!」

「え?それは一体どういう…」


一瞬石切丸はきょとんとして、やがてその意味に気付くと、真っ青な顔で他の面子を呼びにどたどた駆けて行った。

ラウンド28→←ラウンド26



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (130 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
194人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ , 女審神者   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

そると(プロフ) - ナツカさん» 一応この物語は完結したら少しいじってpixivの方にも載せたいと思っております!最後になってしまいましたが、これからも楽しく、張り切って書かせて頂きますのでよろしくお願いします♪ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ナツカさん» うわああああこんなに褒めて頂けるとは…(´ノω;`)ウレシイ…!!!大体の結末は考えていますが、自分は気分屋なので今とはガラッと変わるかもしれませんね( ˇωˇ )あと現在はもう受験を終えて高校一年生やってます…紛らわしくて申し訳ありません(汗)→ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 長文、大変上からの無礼な感想誠に失礼いたしました。ただ、是非完結まで追いたいです。占ツクをやって3年近くたちますが、1番と言っていい程楽しめる作品です。勉強との両立、大変だと思われますが、ご自愛のもと、どうかこの素晴らしい作品を書き上げてください!!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 先が読めなくて、主人公と刀剣がどう和解するのか、はたまたバッドエンドなのか、予想がつかず妄想が膨らみ大変ワクワクします。本当に、もっと評価されるべきです、何故HIT数がこんなに少ない……! 正直占ツクよりも、pixivなど年齢層の高い場所で受ける作品かもです (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - ギャグも、キャラをよく理解しかつ自分の中でキャラを動かせてるのだと思います。違和感なく楽しめます。受験生ということでしたが、高校3年生ですか? その年でここまで書けるのは、脱帽、尊敬に尽きます。結末までの構想は練ってあるのですか? 続きが気になります (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そると | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月6日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。