轟夕日 ページ32
「うわぁぁぁ…、もう始まっちゃう…！」
視線の先には、大きな荷物を持った女の子。
転入初日にぶつかった…銃使いの天才とゆづが称した、あの子だった。
「って、Aちゃん知ってんの？めっちゃ見てるけど」
『うん、色々と縁があって…。困ってるみたいだし、声かけようか』
「だなー。同じチームらしいし」
左腕の腕章には、Aと書かれた赤い腕章が付いている。
『……あの、困りごと？』
「…はい、荷物が大きくて……って、あなたは…」
『名前、遅れてごめんね。双葉A。』
名前を名乗ると、キラキラとした瞳でにこりと笑う彼女。
そして再び、
「轟夕日ですっ！」
名前を名乗った。
続いて菅乃くんが名乗ってから、彼女の荷物を運ぶのを手伝うことになった。
＊＊＊＊＊
『よし、これで全部だね。…ところで轟さん、この中身って？』
「夕日でいいですよ。…ああ、ええと……武器です」
笑った夕日…ちゃんは、ダンボール箱を開いて中身を見せる。
「ふふっ…どうです、この重機関銃！超かっこいいでしょう！」
『わ…！いや、かっこいいけど……こんな大きなの使えるの？』
そう尋ねたところ、彼女は軽々とそれを持ち上げた。
「ええ、一人で持ち運びしにくいものなんです。だから困っていて…」
「いや、じゃあ軽機関銃とかにすれば良いだけじゃね…」
と、菅乃くんが突っ込んだところで、夕日ちゃんが立ち上がる。
「ダメです！この重機関銃は…」
《第1試合を開始します。出場者は位置についてください》
彼女の言葉を遮る放送。
私たちは急いで配置へ着いた。
夕日ちゃんは 重機関銃を定位置に設置し、レッグホルスターには片手で持てるサイズの銃を二丁入れている。
『…重機関銃、使わないの？』
「あれは、敵が撃てる位置に入ったときに使うんです。…敵を重機関銃の威力の低い弾で威嚇し、この二丁で捉えるのです！」
ドヤァ、という効果音さえ聞こえてきそうな表情だ。
だけど、作戦としては一理ある。
ペイント弾は普段使っている銃の分だけで、重機関銃の量はないはず。
それすら考慮した作戦。
「…ふっふっふー。…まぁ、見ててくださいっ！」
自信ありげな彼女の声ののち、試合開始の合図が鳴った。
＊＊＊＊＊
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作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年7月15日 12時
