大丈夫 ページ19
「……ともかく、こういう成り行きで瀬名と関わってね。あの男は本当に危険だから…早急に逮捕するべきだと上からの判断よ」
透さんはニコリと笑った。
何だか、自分の感情を誤魔化しているように見えた。
「ま、断る理由はないしね。俺は大丈夫」
彼女の話を要求したのは惠さんだったけれど、最初に了承したのも惠さんだった。
そして次に口を開いたのは、
「俺も行くよー。仇だしね！」
真夏さん。
しかもかなり明るく。てっきりドス黒いオーラを放って言ったりするものかと思った。
この人裏表激しそうだし。
「細かく決まったら教えてください。課題やってます」
かなりスマートに了承したゆづ。
私はその3人を見て…口ごもった。
「無理そうならいいわよ。急に難しい任務も大変だろうし…。」
『いや、あの…お役に立てるかと不安で』
「……それは心配しなくていいよ。Aちゃんなら大丈夫だし。」
少し不思議に思っていたことだが、ゆづもいつか似たようなことを言っていた。
銃の使い方は分からなくても使える…だっただろうか。
いや、この疑問は後にしておこう。こんがらがりそうだ。
『大変だとか、怖いとか、…無いわけじゃ無いですけど。こういう大きな任務ってチャンスって感じがしますし。』
一瞬目を見開いて、だけど三人ともすぐに調子を戻す。
誰もが安心したような表情をしていて。
『……変なこと言いました？』
「ううん…。だ、大丈夫…」
『背中が震えてますよ惠さん』
やっぱり、思考回路が女子高生すぎるんだろうか。
楽観的すぎるとか、そういうのだったり。
「…えっとね。Aちゃんの思考回路は男前すぎるんだよ」
いつも通りのニコニコした笑顔で突っ込まれる。
何だか、雷にでも打たれた気分だった。
＊＊＊＊＊
「……夏、ほっぺ膨らみ過ぎよ」
「別に怒ってないしー。」
キッと睨む夏。
私は思わず苦笑した。
リビングには私と夏だけ。
他の三人は自室で課題を進めている。
「でもね、大事な仲間だもの。ちゃんと話すべきだと思ったの」
「…メグは、自分からだったら絶対言わないよ」
足をプラプラ揺らす。
子供っぽいことばかりしているのに…その横顔はどこか大人びていた。
「…どしたの、透」
「私は幸せ者だなぁって。」
思ったより緩んだ顔をしてしまった。
夏は心なしか頬が赤い。
「透ちゃん可愛すぎ…」
「は！？」
そこに通りかかった惠くん。
「イチャイチャしないでよ、鬱陶しい」
＊＊＊＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年7月15日 12時
