花になりたい彼女 (ページ3)

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1輪ページ3

いつものように科学室でゆったりしていると聞きなれた大きな声が私の鼓膜を刺激した

「聞いてくれ千空！A！俺は決めた！今日こそ今からこの5年越しの思いを杠に伝える！」

相変わらず声大きいなー…鼓膜破れるかと思ったよ
でもまあ、大樹には悪気がなく素でやってる事だから仕方ないんだけど

結構前に『声大きい、もう少し下げて』って言った時も「そうか！？そりゃーすまん！！」っておっきな声で返されて即諦めたよね

「ほーん、そりゃあすげぇ、興味深い深い。声帯がブチ切れるほどAと応援してるわ。この科学研究室から」

『私声帯ぶち切りたくない』

「おお、そうか。ありがとう千空、A」

あれ、私の声聞こえてない？
それに応援するって一言も…いやまぁ勿論するんだけどね

「1mmも応援してねぇよ。このデカブツ」

「なに、どっちだー！？」

『私は応援してるよー』

ヒラヒラと手を振りながら頑張れーとかファイト大樹ーとか適当に言うと物凄く嬉しそうに「ありがとうA！！」とまたビックボイスで鼓膜を揺らされた

「そもそも5年間何も言わないなんて非合理的だ」

『千空は早かったもんね』

「うるせ」

そう、千空は早かった
小学生になってわずか半年後に告白をされた

さすがに驚いたけど私も彼のことが気になっていたし、取り敢えずで付き合い始め、今では大好きになっている

「合理的な方法をくれてやるよ」

そう言って千空が取り出したのはフラスコ
中に何か液体が入っている

私は千空と付き合っているからと言って科学に詳しい訳では無い

科学の話になると大半理解が出来ない

そもそも千空と科学の話で盛り上がれる人はこの学校にはいないと思う

「フェロモン放出を極度に活性化させる、いわゆる惚れさせ薬。こいつ飲んできゃ、100億%だ！」

わ、顔ゲス…

でも、大樹に渡したところで絶対…100億%飲まないの知ってて渡してるんだ

それに本当に惚れさせ薬なのかな…怪しい

案の定大樹はフラスコの中身を水道にドボドボ捨てた

うん、大樹はそうこなくっちゃね

「ありがとう千空！だがすまん。こんなインチキには頼れん！」

そうハッキリ宣言して科学室を後にした

大樹がいなくなると部員たちが興味津々に水道を覗き込む

「てかこれマジか千空。惚れさせ薬って」

「んなもんあるわけねぇだろ」

そう言って千空は水道にマッチをポイっと捨てた