35【真山】 ページ45
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「思い出したよ、私」
そのメッセージの着信が、私のケータイを振るわせた。
私は全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。
「明後日、その話したいんやけどいいですか」
大丈夫ですと打つ指が震えていた。
それから次の日のことは、殆ど覚えていない。
どうやって仕事していたのか、何も分からない。
ただ穏やかなAちゃんの横顔ばかり目についた。
………
「…………思い出したの？」
「うん。今までほんまに苦労かけてごめんなさい」
「そんなことは、いいんですよ」
「思い出したらな、自分の空白の3年間が辛くてやっぱり申し訳なくて」
「Aちゃん…、」
「なんか皆、黙ってんねやろうなとは思うててん。
みんな苦しそうやったから。
でも、お母さんのことなんて一昨日まで、一個も気づかへんかった。
やっぱり、勝手に封印て言うか、してたんやろうなあ。
お母さんの記憶がなかったんと違くて、当たり前に居るて思うてたんよ。
でも、自分が2年も昏睡しとったんに、どうしてお母さん居らへんのか、なんで自分が連絡もせえへんかったのか……もう今は分かれへん」
「そう……」
人の事は、人一倍見ているくせに自分のことが分からなかったなんて、やっぱり、この子はどこまで行っても、不幸体質なのかもしれない。
「ほんまに、今まで無理さしてごめんなさい」
「そんなこと、いいんですよ、ただ…その、私も、謝らないといけないことがあるんです」
「え、なに」
「お母様の記憶は、戻ったんですよね」
「うん」
「指輪の、人のことは？」
「……でも、」
「やっぱり………」
確認する言葉を何度も選ぶ。
でも、どんなに選んだとて、これから私の口から出るのはAちゃんを傷つける言葉でしかない。
覚悟を決めて、次を発する。
「そこ、なんです。私の謝らなくちゃいけないことは」
「真山さんが？
私、真山さんに謝ってもらうことなんかあらへんよ」
「……………私、嘘ついていました。ずっと」
「…え」
「Aちゃんを、私や他のメンバーとは違う距離で、大切にしてた人のこと」
氷みたいに冷えた眼が向けられる。
胸の奥が苦しくなった。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
