32【真山】 ページ42
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律ちゃんに、会いにゆくことにした。
季節は冬へと近づいていた。
この抱えきれない感情を、少しでも軽くしたかった。
そのためにはもう一つの鍵が必要で。
「ごめんね、急に」
「そんな、全然ええんですけど」
「用事は、その、もちろんAちゃんのことなんだけどね」
「はい」
「Aちゃん、まだ空白期間のこと思い出さないのよ」
「まだ、なんですね」
「それで、そのことで聞きたいことがあって」
「なんですか」
「……ふたりで、その、お母様の話は、した？」
「…………」
「して、ないんですね」
「……はい」
「Aちゃん、意識の外では気づいてるんじゃないのかな」
「……え」
「おかしいじゃないですか。こんな何年も昏睡してて、一度も親御さんの話が出ないのって。
Aちゃん、お父様居られないし。
じゃあ。どうして、お母様は？ってならないのか、分からないじゃないですか。
一度も、実家に帰らないの、変じゃないですか。
律ちゃん、わざと言っていないんでしょ？
Aちゃんが言わないから、怖くて言い出せないんでしょ？」
「……すべての、」
「え？」
「すべての引き金になってる気がするんです。
母のことを告げた瞬間、姉は、全部思い出すって」
「じゃあ、」
「真山さんだって、分かってはるんやないですか。
姉に母の、母の死を教えることで、姉はまた母を亡くすことになる。」
「………」
―――あれは、ちょうど6年前になる。
Aちゃんのお母様が亡くなられた。
いまでも原因はよく分かっていない。
とにかく、律ちゃんと一緒に暮らしていたそのお母様は
二人の娘を置いて、天国へ行ってしまった。
事実だけを言えば、Aちゃんは
この頃から自分を追い詰めるようになっていった。
そして階段転落事故に繋がるわけである。
8歳から仕事をし、事務所唯一の女性タレントになったAちゃんを誰より支えていたのはお母様だった。
忙しさゆえに、その大切な家族を顧みられなかったこと。
それが大きな心の枷になっていたのだろう。
その彼女をなんとかあの事故まで生き永らえさせたのが、『あの人』で。
それなのに、現実は、残酷だ。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
