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「うーん、じゃあふたりで行こか」
――何度も繰り返したはずのこの言葉が、痛い。
きっかけはいつもと同じ、他愛もない会話から。
それなのに、あの指輪を見てからだと体感は変わる。
記憶のある5年、いや6年前もしょっちゅう外に連れ出してもらったし、目が醒めてからだって出掛けてきた。
でももう、意味が違う。
その眉も、指も声もみんな、特別になってしまう。
私がぽつりと言った「とある舞台が観たい」という言葉を章ちゃんは覚えていてくれていて。
嬉しいけど、今はそのやさしさがつらい。
章ちゃんが迎えに来てくれる。
なんだかどぎまぎしてしまって、うまく喋れない。
お芝居は面白かった。
いつかこの劇作家さんとお仕事したい、なんて新しい目標も出来たくらいに。
でもやっぱりうわの空。
その後の夕食も味があったような、なかったような。
「Aちゃん、今日変やで。」
「え、そんなことないよ」
「意識されすぎても困ってまうよ」
「だって、意識せえへんほうが無理やん。
突然、ずーっと知ってたお兄ちゃんが彼氏になってたんやで？」
「あのさ、Aちゃん」
「ん？」
「Aちゃんは、今、ニューAやんか」
「…は？」
「せやから、記憶喪失前のAちゃんと、今の、思い出されへんAちゃんは別やって、僕は思っててん。
やから、ニューAは無理に好きになってくれとも付き合うてほしいとも思われへんねん」
この言葉を聴くと、私はなんだか無神経にああ、待ってた人の言葉は重いな、なんて感心してしまった。
「そないなこと言うてるけどさ」
「なに？」
「一番の問題は、私が章ちゃんのこと、全然すぐ好きになってまいそうな所やねん」
「……それやったらええねんけどな」
「嬉しい？」
「うん」
章ちゃんが喜んでくれることは素直に嬉しかった。
私はメンバーなら皆大好きだ。
家族として、先輩として尊敬しきっている。
もしそんな中で、誰かが私を選んでくれるなら。
きっと尻尾を振って付いていってしまう。
それは章ちゃんでも同じことで。
ただ、なぜ、章ちゃんなのか。
みんなのことが好きなのに、恋愛としてなぜ章ちゃんなのか。
分からない。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
