21 ページ31
.
律と会うのは、随分久しぶりのような気がした。
私のドラマが、春クールとしてスタートしたのと同じ時、律は社会人としての一歩を踏み出していた。
何かと忙しく、うちには来られない日々が続いた。
一緒に住んでいたのが夢みたいに遠い。
思えば、私は高校生の頃には、もう個人の仕事で忙しく、一人で上京してきていて。
律の大学進学後も、空白の３年に含まれていて、その時も一緒に住んではいないし。
律と私は７歳違い。
同じ屋根の下に暮らした感覚が薄いからこそ、この春休み期間は、貴重だった。
「お姉ちゃん、ちゃんと食べてる？」
「主にメンバーが」
「よかった」
「一生懸命、食べに連れ出してくれて」
「ちゃんと感謝せなあかんで」
「せやな」
「まあまあ、元気そうでなによりやわ」
「それはこっちのセリフやで。
どうなん仕事。嫌な上司とか居てる？」
「まだ研修期間やし、
そんなこと考える余裕もないわ。」
「仕事な…。難しいよね…。
って、私になんか言われたないな？」
いわゆる、お勤めを私はしたことがない。
そのことは時折、私の胸をちくっとさせた。
「なんでそんなこと言うん。そんなことない。
種類はちゃうけど、多分、
ぜんぶの仕事の根本は、同じなんやと思う。
望まれたこと、頼まれたことをどうこなすかっていう」
「なんか、すでに核心に近づいてるんと違う？」
「わからへんけど。」
「あかんくなったらすぐ言い。
私にできることは、少ないけど」
「うん。あ、あのさ」
「ん？」
「おーくら君に会うたで」
「え？いつ？！」
「おとつい」
「なんで！？知らへんねやけど！
え、てか昨日も、おーくらさんに私会うたで？」
「ちょっとお茶した」
「はああああ？？？え、どこで」
「事務所の会議室。真山さんから連絡有って」
私は、突然のことにかなり狼狽した。
妹に会ったこと、黙っていたこと。
ともかくそれが事務所という、私たちのパーソナルスペースで行われたことにひとまず安堵した。
いやいや、お茶って。
給湯室のやつやん。
「何の用やったん」
「お姉ちゃんと今、連絡取ってる？って。
取ってへんねやったら、ちょっとでもいいから連絡したってな、って。
今、ドラマとか、新しい番組とか、今まで身体が休んでたわけやし、いつ昏睡の後遺症が出るかわからへんからって。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
