17【緑】 ページ27
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「ほんっまにかっこよかったわー！！
一緒に観てたの、忘れてまうくらい！」
座席から窮屈そうに腰を上げ、
めちゃくちゃええ笑顔でAちゃんは伸びをした。
「なんでや、居たやろ確実に」
「そうなんやけどさあ」
「ちょっとは気使えや」
「ごめんて。でもほんまに。
あの役がおーくらさんでよかったわ」
「ありがとう。
……やっぱり、Aちゃんに誉められるんは、嬉しいけど」
「私が、とかとちゃうくて、皆誉めてくれるやろ」
Aちゃんが、ぽかんとした顔で、俺を見て言う。
「いや、メンバーが一番近くに居って、
今まで来てるやんか。やからっていうのはあるわ」
「そっか。私も、おーくらさんに
負けへんように、ドラマ頑張るわ」
「せやな。ま、Aちゃんは大丈夫やって」
「あ、ほんまそれ！」
突然謎の電波を受信したみたく、立ち止まる足。
世間にはバレづらい不思議度合い。
それが、今はただ、胸のつかえを取ってくれる。
「は？」
「おーくらさんの『大丈夫』が私、好きやねんな。
ほら、Jrの頃とか、デビュー前後は
ほんまに、身の丈に合わへんていうかさ、
何個心臓有っても、足りへんような仕事ばっかで。
その度に、ぎゃーぎゃー言うてて、
みんなも落ち着かせるために、色々してくれたけど
おーくらさんは、私と同じベクトルで
ちゃんとやってこいって、言うてくれたから」
「今もうるさいけど、やっぱり落ち着いたんやな」
「今も？！」
「ごめんごめん」
「……でも、私もいろいろ、ごめんな。」
「え？何？」
「あの頃、複雑やったやろうなって。
そんなん普通、自慢にしか聞こえへんもん。
見捨てないでくれて、ありがとう」
「思うてないてそんなん」
「空白の二年も、どーせ私のことやし、
言えてるわけないから、今言うたの。」
「たしかに言われたことないけど…。」
少し首をすくめた、おどけた笑顔が
ほんまに、切なくて仕方なかった。
羨ましかったけど、妬ましくはなかった。
その成功が、Aちゃんを苦しめてたのを
俺は一番知ってたから。
ドラマはその一ヶ月後に放送開始した。
人材派遣のキャストのエキスパートの変人が
大小さまざまな事件を解決する。
生き生きしたAちゃんに、嬉しくなった。
この人は、演じることでしか生きられへん。
それも、知ってるから。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
