9【真山】 ページ19
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事務所としては、主演もしくは、それに類する役でなくては、やらせたがらなかったけれど、彼女は気にしていなかった。
『演技は好きやねん。やからな、せめてコレは「あいつ、コレはまあまあ出来んねやな」って思ってもらって、皆の役に立ちたいなって』
捨てられたくない、と彼女は繰り返した。
私としては、真山さんにしか言えへんわ、なんて言われてしまって、彼女をもっと特別に思った。
そう、人たらしなんだと思う。
そして段々にAちゃんを『魔法少女の子』という人は減っていった。
みんなが『子役期』を抜け出したと分かった。
その悲しさ、切なさ、儚さ、美しさ。
ようやくそれが浸透し始めた。
とはいっても彼女は、通信課程で大学に通っていたくらいの時期のこと。
さすが芸歴20年。
そう、朝ドラが決まった時は、私が一番びっくりした。
けれど彼女はこの事務所に、たった一人認められた女の子なのだ。
そこらのモデルや女優なんかとは訳が違うのだ。
全国民が8歳から知っているために、親しみを込めて『Aちゃん』と皆が言う。
一般の人でさえこうなのだ。
身内とも言うべきファンの皆さんは、もっと彼女を、強く愛してくれている。
その愛ゆえに、Aちゃんは自分を追い詰める。
歌声は無理を感じさせない、なるべく低い声で、ダンスも足を引っ張らず、トークでもただにこにこしていてはいけない。
その通り彼女は実行してきた。
話を戻す。
彼女が、恋。
いや、していたのかもしれない、と言うべきか。
そのことは少し嬉しいこと。
自分の幸せはいつもないがしろだったから。
証拠を残さないやり口は、事務所としてはとてもありがたいが、今となっては、本人の窮地を招いている。
しかし、どないしよう？と困るその表情を見ていると、本人の中にも、『私も恋愛出来たんだな』という安堵のようなものを見ることが出来た。
老婆心では、ありますが。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
