57【橙】 ページ13
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「聞かへんの、誰と…とか、」
「……うん。悲しくなるだけやから」
「そっか」
「……うん」
「丸ちゃん、」
「ん？」
「ごめん。」
「謝らんでよ。僕がAちゃんのこと、」
「丸ちゃんのせいとちゃうから。……ほんま、ごめん」
誰と、何があって、僕と別れる決意をしたのか。
そんなこと聞けるわけないやん。
僕は、最後まで臆病で、Aちゃんのことを、まだしっかり好きやった。
いつかこの日が来ると思うていた。
呼び出されたのは、ふたりで来たことのあるレストラン。
君に相応しい恋人に、なれてへんかったんやなあ。
ほんまは、全部聞き出して君のことを、こてんぱんに問い詰めて、ぼろぼろにしてやりたい。
でもそんなこと僕には、できるわけもないし。
「……もう、行くね」
「仕事の時は、普通に出来るようにするから」
「丸ちゃん、下手なくせに」
そう。僕は嘘をつくのが下手。
全く持って自信はない。
でもこなさないといけないのだ。
『A、遅いよ』
テーブルまでやってきたのは、女優さんやった。
有名で、この間旦那さんと別れはった、藤峰さん。
……え？ どういうことやろ、意味が
『どうも、はじめまして。藤峰です。
Aのこと、いつもありがとうございます』
「何言うてんの」
『お世話に、なってたんでしょ』
「もう、変なこと言わんで。ごめん、丸ちゃん」
「じゃあ。」
藤峰さんが、Aちゃんの腕を引く。
Aちゃんは何度も何度も、僕を見ながら去っていった。
……そういう、ことか。
負けた。負けたんや僕は。
わざわざ顔を見せて、藤峰さんは僕を牽制した。
何やねん、あの人やって、心配で嫉妬してんねや。
藤峰さんも惚れてるんや。
でも僕とAちゃんとちゃうのはひとつ。
Aちゃんも、惚れてるってこと。
僕の愛したAちゃんが、僕のことを愛してくれる。
僕のいちばんのAちゃんが、僕をいちばんに想ってくれる。
たったそれだけのことやのに、何でやろう。
僕はどうして君を、手に入れられへんかったんやろうな。
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ゆうみ(プロフ) - まーさんさん» 本当にありがとうございます！私もすごくお気に入りで自分でもたまに読み返します笑。最近あまり更新できなかったのでこれから少し頑張るつもりです。ぜひ読んでもらえればと思います。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: b00a6f057e (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - はしめまして。この小説の全てが好みすぎて初めてコメントしました……！月並みな言葉しか書けませんがとにかく好きです！ってことを伝えたくて、、！ゆうみさんの小説全て好みなのでこれからも無理のない程度での更新楽しみにしてます！！ (2019年10月20日 19時) (レス) id: 880f5c4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月18日 9時
