��誰とも付き合わないって【青】 ページ18
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「そんな大っきいこと話してくれてありがとう」
「……え？」
見上げた顔はきょとんとして、本当に子ども。
バカ正直のバカ真面目。
右のピアスを開けることだけで、こんな一大決心しなくちゃいけない程、僕たちのこの珍しい仕事にのめり込んでやってきたなんて、ほんまに尊敬する。
……びっくりした。
そんなことあるんやって思うた。
撮られへん天才やと思うてたけど、そりゃ撮られんはずやわ。
「無理しんくてええよ。
な、それよりどーすればええんやろ
付き合うって何？ リスク大きすぎひん？
もしバレたらどーすんねやろ？」
「あのAちゃん、Aちゃんはどーしたいの？」
「…分からん。彼氏が欲しいのとはまた、違うし…」
「そっか。
でもさっき自分言うてたで。取り戻したい、って」
「あ、」
「別に恋愛せんくてもええやん。
あ、ちょっとずつ、女の子の練習すんのはどう？
嫌やったら戻せばええやん。」
「確かに…。
でもファンの子ら嫌な気持ちにならん？
ずっと男みたいに、やってきたくせに今更、」
「Aちゃんのファンやで？
それにもうお芝居では見たことあるやん。」
「そうやけど……」
「Aちゃん変わりたくないん？」
「変わり、たい…」
「やったらこっち来。どうせピアッサー持ってんねやろ」
Aちゃんは胸の奥から湧き上がってくるような、希望そのものの笑顔で頷いて、素直に僕の隣にやって来た。
いつもの綺麗な指で、ショートヘアの髪を分けて、耳を露わにする。
あ、最高。
別に何もせんくてもAちゃんは、ずっと女の子に決まってるやん、
やって、そうやって見てんねやもん。
そんなの分かってるけど
この元気なこの子には教えてあげへん。
「こっち向いて、顔見して。
左とおんなじとこでええやろ？」
「おん。巧くやってな。左右対称に、やで？」
そうやってAちゃんは、ぐっと目を瞑って笑った。
巧くやるよ。
……覚えてへんみたいやけど、左に開けたんも、僕やもん。
笑いそうになる。
あん時も、相談があんねんって来たんやで。
「私、お仕事が恋人やねん。他の子たちとはちゃうねん」って。
「誰とも付き合わない」って、自分でも忘れちゃったような呪いを守ってるなんてやっぱり真面目。
「章ちゃん、私の耳、何か可笑しい？」
「ううん、なんでもないで」
なんでもないよ。
今は。
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��よーろしくどーぞ！！【黒】→←��どうしようもないバカ【青】
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年3月11日 16時
