ep.41 ページ42
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「会社は地元の有力者✕田のモノで、あっと言う間に私達家族は町で孤立してしまった。
✕田に、伯父は昔から良くしてもらってたらしい。
彼の告発は、✕田にとって裏切りだった…。
✕✕町では、住民の殆どが✕田やその一族に関わる職についてる。
やから誰も、味方してくれへんかった。
それから3ヶ月もしない内に伯父の持病が悪化して、あっと言う間に伯父は亡くなってしまった。
伯母もその後を追うように……。
町の人達の嫌がらせは更にヒートアップして、私も彼も出勤すら出来なくなった。
そして…彼は……。
………叔父夫妻の死の責任を感じながら、風呂場で…腕を切って………！」
「……そんな」
「私は追われるように町を出た。
彼の両親と何とか葬儀を済ませた後、お義母さんもお義父さんも自分を責めるなと言うてくれはったけど、私には何もかも耐えられへんかった。
私は、また、家族を失ってしまった…。
こんな私を大切にしてくれたあの人たちを死なせてしまった……。
やから……何処にも行く宛がなくて、やけどこのやり場のない怒りが、どうしようもない憤りが収まらなくて、私の棄てた此処へ、戻ってきてしまった……」
俺はセーラをまた抱き締めた。
涙を流すセーラは、俺の腕にそっと触れた。
「セーラ、殺したいんやな。その、✕田言う男を」
「……うん」
「分かった」
「………まだ、あたしのサブマシンガン有る？」
「ある。やけど、条件が」
「条件？」
「俺も行く」
「どうして」
「セーラ、終わったら自分も死ぬつもりやろ」
「……」
「死なせへんからな。絶対」
セーラはその言葉を聞き、俯いてまた泣いた。
俺等は目配せして、頷いた。
………
セーラはまた揃いのスーツに腕を通した。
「手入れしてくれてたんやね」と少しセーラは笑った。
俺がワゴンのエンジンを掛けていると、ジョニーが近くに来た。
何か言いたそうに、少しの逡巡を見せた後、「二人で帰って来て」と呟いた。
助手席に乗っている間、セーラはずっと手元の手帳に挟まれた数枚の写真を何度も何度も見ていた。
「……それ、何」
「結婚式と、お義母さんたちと伯父さんたちとみんなで行った旅行の写真。
あの人張り切って空回りして……。楽しかったなあ…」
「……」
「もう戻らへん時間や。
復讐が何の意味もないことは解ってる。
やけど…」
そう言ってセーラの視線は、窓の外へ移った。
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年8月22日 11時
