ep.33 ページ34
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兄弟やったから、俺はずっと理解できた。
でも、だから二人は駄目やのかもしれない。
血はつながってへんけど、それでも兄弟やから、禁忌を犯してしまったことになったのかもしれない。
もしかしたら、アーセナルが今気づいたことは不幸なのか。
今更手を述べても遅いとか、そういう次元やなくて、あの子は、そもそも運命が見つめあえない二人と決まっているのか。
背中合わせにしか生きられない、そんな宿命を抱える二人の人間が、その宿命を引き裂いて向き合ったら……。
………二人には闇が似合う。真っ暗な夜が似合う。
いや、似合っていた。
一人はその闇に耐えきれなくなり、遠い水平線に向かって駆け出していってしまった。
夜から逃げ、陽の当たるやさしい場所へ。
今、その暗闇から血に汚れた手を差し伸べて、無理に引き戻そうとした所で、同じように血に汚れていたその手は握り返すのか?
俺は、ジャッキーの隣へ行って、アーセナルが行ってもうたよと言おうとして、ただ涙が出てしまった。
ジャッキーは、どうした?と繰り返して、俺のために、焦ってくれた。
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年8月22日 11時