ep.18 ページ19
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「ダイキが、ダイキの方が、浅野夫婦が探してた双子の片割れや……」
「そんな、まさか、」
「やって、そうやろ。
理緒とダイキは男女の双子で、✕✕に一緒に預けられて、理緒が浅井夫婦に先に引き取られて、ダイキが次に引き取られて……。
浅井夫婦が探すべきやったのは……ダイキやったんや。
でもあの二人はまさか女やないなんて思うてなかった……」
決まったことやない、と思うたけどそんなこと言える雰囲気やなかった。
セーラさんは、手で顔を覆いめちゃくちゃになった情緒を収めようとしていた。
「……もう、今日はほんま帰って」
「こんなん置いて、帰れないやないですか」
「大丈夫……私には、」
「EIGHTの人らが居る、ですか」
セーラさんは頷いて、また僕を睨んだ。
「やったら……!」
「……え」
「やったら、あのアーセナルさんが、こんな泣いてるセーラさん慰めてくれはるんですか…!
自ら抱きしめて、愛してるとか言うてくれるんですか…!?
……違いますよね」
「別にそんなん望んでない!」
「嘘や…!」
「やとしても、アーセナルだけやないもん。
皆、皆、私のこと大事にしてくれて」
「でも、その人しかセーラさんのこと、ほんまの意味で慰められへんと違いますか」
セーラさんはまた黙った。
「変なこと言うて、すみません」
「……」
「……帰ります」
僕はセーラさんの涙を見ないふりして、背を向けた。
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年8月22日 11時