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私はあの日から警察官(仮)になった
(仮)というのはまだ警察官になれなからというのが正しい
もちろん私用の席はもう警察庁にある
しかし、警察官になるには大学を卒業し
警察採用試験を通過し、警察学校に行かねければならない
また、うちの部署ではエリートを引き抜かないといけないらしい
まあ能力的な意味あいが強い
つまり、警察学校で首席になれとのお達しだったのだ
私の将来は警察学校での成績によって決まっている
悲しいことに、あの日話を聞いてしまったからには途中で降りることができない
成績を残せなくて死ぬか、受かって生きるか
鬼がいなくても結局はこうなってしまうなんて思ってもいなかった
はぁ、とため息をつきながら空を見上げる
葉が赤に染まる季節になったが、今年も綺麗に赤く色付いている
そんな中屋上は昼のこの時間帯では特等席だ
空の青と木々の紅が美しい
数分前に水を買いに行ったゼロが呼び止められているのが目に入る
またか、と若干諦めに似た感情を抱く
彼はもう数十分は帰ってこれないだろう
「A大丈夫か?」
ニュッと視界にヒロの顔が出てきた
その顔は心配の色を多分に含んでいる
「…ええ、別になんともないけど。
どうしたの?」
「いや、なんか先生呼ばれた日から変だなぁって思って」
その言葉にどきりとしながらも笑いかえす
「ふふ、そんなことないわよ?」
「まあ、ならいいけど。
なんかあったら言えよ?」
「ええ、勿論」
そう返すと彼は満足げに頷いて弁当を食べ進める
本当に優しい子だ
しかも、純粋で真っ直ぐで
本当に私の子供達のように純白だ
私とは大違い
「そういや、ゼロ遅いな」
「ああ、さっき女の子に絡まれてたけど…ああ、あそこ」
「うわぁ、すげぇ人だかり」
先ほどまで数人しかいなかった女子の群れは数分たっただけで数十人に膨れ上がっていた
「はぁ、あれじゃゼロ大変だろうな。ごめん、A助けに行ってくる」
呆れたような笑顔で言う彼に「頑張って」と返しながら見送る
十中八九私だと返ってこじれてしまうのだ。
女子とは恐ろしいものである
私しかいなくなった屋上でまたため息を吐く
明日は模試が迫ってる
この国のレベルでならフルスコアは余裕だろう
大丈夫
全てはまだ順調だ
きっと上手くいく
だから
どうか
あの子達だけは何もを知らないでいてほしい
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al8056(プロフ) - この世界ではの話でネグリジュじゃなくてネグリジェだも思います! (2020年6月3日 0時) (レス) id: bd89f0112b (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - ayuさん» ありがとうございます!頑張って更新します!! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
ayu - 初コメント失礼します!この作品がすごく面白くて更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月21日 8時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 白桜姫さん» ありがとうございます! (2019年5月21日 7時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - あなたが神か?最高! (2019年5月20日 0時) (レス) id: b2ef42075e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年5月19日 20時