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数日後、エースは目を覚ました
その頃には島はもう出発していて、海の上だった

目が覚めたエースにサッチや他の船員が話しかけているのをよく見る
みんな、興味津々なのだ
白ひげが自分の命を狙った輩を息子にするのは珍しいことではないが
エースほど若い人はいなかったから
しかも、敗れてなお白ひげの暗殺を企てているのだから面白い


満月の登りきった深夜
もう会えないみっちゃんに届くように、酒を海に流していた

すると、近くにエースが激突した
今日も今日とて暗殺は失敗だったらしい
ドン、という痛そうな音に眉を顰める

「いってぇ
なんだあの男。化け物かよ」

悔しそうに顔を歪めるエースに苦笑を漏らした

「毎日、頑張るねぇ
末っ子君」

しゃがんで顔を近づけて言えばエースは、ハッとしたように顔を上げた
私を見た瞬間、彼は目を丸くしてゴクリと喉を鳴らす
固まってしまった彼に首を傾げながら目の前で手を振った

「おーい?大丈夫?」
「っなんだよ、お前!気安くすんな!」
「呆けてた奴に言われてもなぁ」
「う、うるせぇ!」

縁に座りながら笑えば、エースは少し頰を赤くして噛み付いた
乙女か、と内心ツッコミつつまた笑うと
ぐうう〜、と大きな音が聞こえた
私では確実にない
下に目を向ければ気まずそうにエースは目線をそらした

「…もしかして、今までサッチのご飯に手を付けてないとか?」
「……うるせぇ」

図星です、という顔をするエースにため息をついた
自分の膝に頬杖をついて語りかける

「人間は飯食わないと死ぬよ?」
「…んなこと知ってんだよ」
「知ってんなら食べなよ
今クッキーしか持ってないんだけど」
「なんで持ってんだよ、つーかいらねぇ
構うな、失せろ女」

袖口から袋を取り出した
中身はおやつ用のクッキー(試作品でサッチと作った)だ
それを数枚出して差し出すと低い声で拒絶され睨まれた
それが警戒した猫みたいで可愛らしく見えた

「ふふっそう
じゃあ、置いておくから食べなよ」
「誰が食うか!」

エースのそばにハンカチを敷いてその上にクッキーを数枚乗せた
同じ袋からクッキーを取り出しこれ見よがしにサクサクと食べながら自室に戻った


食べても食べなくてもいいが、餓死されるのは御免である

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アイリス(プロフ) - コリーさん» こんにちは!そうでしたね!ご指摘ありがとうございます! (2019年9月23日 21時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
コリー - くるクラさん» 初めまして!!コリーです!!ちなみにモモンガの一人称は私です!1 (2019年8月17日 19時) (レス) id: 3f85b3967d (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございます!とても嬉しいです!頑張ります (2019年7月18日 22時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - 最っ高ー!もう最高としか言いようがない!面白い!続きすごく楽しみです!更新頑張って下さい!! (2019年7月18日 21時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます。そう言っていただいてもう歓喜です!!小躍りしそうなくらいには嬉しいです!今後もどうかご贔屓に! (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年7月16日 7時

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