【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ42)

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091話ページ42

柊「A、お前は五十嵐さんの実の娘だ。お前の本当の母親は、五十嵐妙子さん、文香の実の母親と同じだ。

五十嵐さんが離婚して、Aと文香は妙子さんに引き取られた。
しかし、女手一つで育てていくには限界があった。
そこで、妙子さんは友人であった藤枝亜弥さんにAを預けだ。

そのことを相楽さんが知ったのは、妙子さんが亡くなる前だった。
妙子さんに親身になっていた亜弥さんは、Aを引き取ってすぐに養子として迎え入れた。

文香もきっと離婚があって再婚があってで幼少期の記憶があやふやだった。
妙子さんが病気で亡くなったのもあったから余計だろう」

『待って、じゃあ、なんで相楽さんは言ってくれなかったの？五十嵐さんも』

柊「相楽さんの会社には偶然亜弥さんの夫である藤枝友輔さんが勤めていた。スーツアクターとして…俺も少しの間だったがお世話になったことがある。

相楽さんは友輔さんを通じて、Aが幸せに暮らしていることを聞いていたし、
Aは、時々会社に遊びに来てたから、その時元気なのも確認できた。

Aの今の幸せを壊さないように、混乱させないように。見守っていたんだ」

知らなかった。

だからあんなに、相楽さんは親身になってくれたのか。

五十嵐さんは優しかったのか。

文香さんを見ると感覚的な懐かしさで温かくなったのか。

茅野「てことは、Aのことを先生はずっと前から知っていたんですか？」

柊「あぁ、会社に遊びに来ていた女の子。ファイター田中さんとも親しかった。
俺は、その時文香と付き合っていたからあまり関わらなかったがな」

『言ってくれればよかったのに……もうすぐ目的果たせるってことしか考えてなかったから
頭の中ごちゃごちゃだ…』

柊「大丈夫。Aに愛情を注いでいてくれた人がいっぱいいたってことだ」

『じゃあ、もしかして…お父さんとお母さんが死んだ後にすぐの時、手術料を出してくれた人って』

柊「そう、相楽さんだよ。お前には親類の誰かだと伝えられたはずだ」

『五十嵐さんも事件の日、一緒に来るかって心配してくれたっ』

茅野「A、ちゃんといろんな人に愛されてる。大切にされてるよ」

私はさくらに頭を撫でられ、

涙を流した。

突然知らされた事情。

混乱していないと言ったらウソになるけど、

居なくなったと思ってた家族が、まだ私に愛情を注いでくれていた。