( いつのまにか ) ページ39
中島 side
「……監督、お話があります。」
「卓？…どうした？」
ソファに座るように促される。
「……僕、結婚を前提に付き合ってる人がいます。」
「……この間の？」
「いえ、その人じゃなくて、」
「まさか、Aちゃん？」
「はい、そうです。」
「そうか、そうか、Aちゃんかぁ、」
「あの、無理を言っているのは分かっていますが、
……婚約を発表させて下さい。」
「…………結婚の発表じゃなくて、
婚約の発表ってところに何か、意図があるんだね。
彼女は今どうしてる？」
「タイガースの管理栄養士をしています。」
「、夢を、叶えたんだね。彼女も。」
「はい」
「そうか、球界にいる人なのか。」
「………難しいのはわかっています。
彼女は今年が1年目です。
今すぐに結婚して家庭に入ってもらうつもりはありません。
ですが、彼女を守るためにも、公表させて下さい。」
監督の顔を見る。
悩んでいるような、呆れているような顔にも見える。
でも俺は、何度だって頭を下げたい。
どうしても認めて欲しい。
「……卓、
彼女との婚約を公表するということは、
ファンの目やメディアの目が彼女に集まる、ということだよ。
逆に彼女を危険にさらすこともある。
それに、婚約を公表したからには……分かるね？」
「はい」
「卓、彼女を守り抜く覚悟はできてるかい？」
「……彼女と離れていた3年間、
僕はただ野球のことだけを見て過ごして来ました。
僕は、この3年間で、彼女の全てを引き受ける覚悟を決めました。」
「この3年間、
卓が成績を残し続けて来たのは、彼女のためだったんだね。
…………僕から何もいうことはない。
球団にも僕が説得しよう。
何があっても手を離しちゃいけないよ。」
「っはい！ありがとうございます！」
、だから、俺たちはこの人についていく。
強く、暖かく、心の広い監督に。
(( ファンの子達は選手をよく見ている。
卓が彼氏にしたいNo.1を獲り続けるのは、当然のことなのかもしれないね。
細かった背中も、あんなにたくましく、大きくなった。 ))
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 436人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：璃央 | 作成日時：2017年8月13日 16時
