死神様のお仕事 6【刀剣乱舞】 (ページ44)

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仕事_140 ページ44

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堀川「でも善狐って、妖怪ですよね…？」

『ああ。だがひのとの先祖は善狐の中でも“天狐”と呼ばれる狐だったのだ』

天にも通じ、その力は神と同列に在るという狐。

骨喰「あまきつね…」

『妖力甚大で、他の異形と比べ物にならないほど強い。その恐ろしさゆえ、どこかの地方では神として崇められていたようだ』

薬研「そりゃ怖いな…」

『だが、一方でとても慈愛深い異形なのだ。出生率の低い天狐族は、同族…特に子どものためならなんだってする。

…私は、あれほどに情の深い妖を他に知らない』

Aの推測だが、ひのとの母親が命を落としたのは、ひのとにその命を与えたからだ。

血はもう薄いはずなのに、ひのとは狐火を操れた。その炎は、完全に制御できないと自分の命を削ってしまう、諸刃の剣。

母親は天狐の血が息子の命を蝕んでいると気付いた。

ゆえに我が子に、その血を受けた眷族(けんぞく)に、

たったひとりの愛(めぐ)し児に、その命を与えて土に還った。

小狐丸たちは、まるで天狐に会ったことがあるかのように話すAをじっと見つめていた。

和泉守「ま、待ってくれよ、善狐だか天狐だか、そもそも妖怪なんて本当にいるのか？」

『ああ』

和「いいいいるわけねーだろ！それに初代の場合、人間との合いの子だろ？本当にそんな…」

漣「…自分だって似たようなもんじゃないか」

和「あぁ？」

堀川「お、落ち着いて兼さん…」

『人と異形が心を通じて子を生(な)すのはよくある話だ。天狐の血を引く者は初めて会ったが、覚(さとり)や天狗(てんぐ)はよく見かける』

燭台切「(よく見かけるって…Aって一体…)」

『そもそもこの国の天子が人間でないのだから』

男1「天子って、天皇のことですか？…え、人じゃないんですか？！」

それを聞いた全員が目を見張った。

ただAと漣だけが顔色を変えない。

『神武天皇の父親は鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)といって、天照大神の曾々孫にあたる。国の象徴たる天子が人でないのだから、その元にいる人々だって、人間とは限らないのだ。

人外はな、意外と身近にいるものだぞ』

和泉守「な、なるほど……」

納得する彼らの隣で、漣は必死に笑いを堪えていた。

まさかその人外に上手く言いくるめられているとは、誰も思うまい。

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