仕事_139 ページ43
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あれから数日後、漣と役人が再度Aの本丸を訪れた。
一期たちの経過の観察と現状把握をしにきたらしい。
漣「ようやく政府っぽい仕事してるって感じ」
『そうか…？』
今剣たちが雪上を駆けてゆくのを横目に、Aは漣と役人を部屋へ案内する。
今日は誰も出陣しておらず、皆自由に過ごしていた。
妻戸を全開にし、陽の光を部屋にいれる。
Aの部屋は目につきやすいのか、はたまたAと話したいからなのか、そうしていると何振りか集まってくるのだ。
燭台切「お茶持ってきたよ」
『ありがとう』
小狐丸「A様、小狐めも同席してよろしいですか」
『もちろんだ』
和泉守「お！なんだなんだ？会議か？」
堀川「お邪魔してもいいですか？」
鯰尾「ちょうど茶菓子持ってまーす！」
骨喰「ちょうど…？」
薬研「偶然装うの下手だぜ鯰尾兄」
漣､男1「…………」
聞かれて困る話はしないから構わないのだが。
漣は不服そうな顔をし、隣の役人は苦笑した。
集合をかけていないにも関わらず、よくまあこんなに集まるものだ。
しばらく、彼らの気の向くままに話をしていた。
会話の最中、何かの拍子に静まりかえった部屋で、Aがぽつりとこぼした。
『……
薬「ん？」
『ひのとの先祖。
彼は狐の血を引いていたのだよ』
突然の告白に、全員開いた口が塞がらない。
和泉守「は……狐？」
鯰尾「…あ！じゃああの時俺を
『あれは狐火だ』
骨「…小狐丸、初代に何か感じたことはあったか？」
燭「そっか、小狐丸さんは稲荷の氏神様に相槌を振るってもらったんだよね」
小狐「ええ。確かに狐としては同じと言えましょう。ですが…」
漣「さすがにひのとは血が薄いんじゃないか」
小狐丸は頷く。思い返してみても、初代に何かを感じ取ったことは一度もなかった。
だがふと、先日の出来事で懐かしい気配がしたのを思い出した。
ちょうど長谷部が結界を突き破って出てくる、少し前。
あのとき、近くにもっと血の濃い者がいたのだろうか。
そのことをAに話すと、
『さぁ、どうしてだろうな』
と目をそらされてしまった。
それを聞いた漣という役人もあらぬ方向を向いたのが不思議だった。
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年12月16日 16時
