仕事_120 ページ24
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『一期がいない？』
薬研「広間に集められた時にはいたんだが」
前田「骨喰兄さんと話していたのを見ました」
『そうなのか、骨喰………骨喰？』
Aが問いかけると、骨喰が彼女の腕をはしっと掴んだ。
その手が少し震えている。
『どうした』
骨喰「…いやな予感がする」
Aが僅かに眉をひそめたその時、漣が簀子を走ってくるのが見えた。
漣「やっと、見つけた…この屋敷、広すぎだって…」
『許可はとれたのか』
漣「まだわかんない。ボスが掛け合ってる。てかそんなことより、報告というか、忠告というか、警告というか」
『なんだ』
漣「まず、ひのとの居場所が特定できた」
『！ そうか』
漣「で、ひのとの傍に、もう一人誰かいるっぽい」
『え…？』
漣「そんでその人、てか付喪神、ひのとを斬ろうとしてるみたいだよ」
その場にいる全員が息を呑む。彼らの脳裏に浮かんだのは長兄の姿だった。
お互いに視線を交差させる中、Aだけが茫然と宙を見ていた。
夢の中で、ひたすらに謝っていた一期。
それは誰に対して?
＿＿「お前の手は、罪で汚れている」＿＿
なんの罪を犯した?
＿＿「彼を、頼むよ」＿＿
彼とは、本当にひのとのことなのか?
…違う。同僚が言っていたのは、ひのとだけではないのだ。
『……言うなら“彼”ではなくて、“彼ら”だろう』
「「「？？」」」
漣「…守秘義務さ」
『うるさい。行くぞ』
言い終わらないうちに、Aは門へと駆け出した。
＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿
森の中をいくつもの影が疾走する。
鶴丸「役人、本当にこの奥に初代がいるのか」
男1「間違いありません。ここを抜けた先です」
堀川「あの、僕たち
男1「三日月さんが私をぶん殴った時点で色々終わってます。……始末書は口裏合わせてくださいよ」
和泉守「お、わかってんじゃねーか」
漣「減給は任せてくれ」
男1「それはマジで勘弁してくだ……いました」
役人が足を止める。だがそこにはひのとも一期もいなかった。
『誰もいないが』
男1「います……この中に」
役人が手を伸ばすが、何かに阻まれて止まる。
そこには確かに、見えない壁があった。
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2018年12月16日 16時
