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仕事_26 ページ9

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問いかけたAに、乱は慌てて首を横に振る





乱「違う、違うの。ただ…」





口を閉ざした乱に代わり、厚が続けた





厚「見習いって聞くと“乗っ取り”ってイメージがあってな」



乱「なんだか、その…怖くて……」



『あの砂丘ってそんなに危ないのか』



薬研「“鳥取”じゃなくて“乗っ取り”な」



鶴丸「ブフッ」





場を和ませるという意味合いでは、Aの絶妙なズレほど適したものはない





『乗っ取り?』



堀川「見習いが審神者になって、本丸を自分のものにするんだよ」



『そんなことができるのか?私がいるのに』



大和守「……えっと…」





それきり皆が黙り込む



良からぬことを聞いてしまったかとAが不安になりかけた頃、一人がおもむろに口を開いた





「…あくまで、他の本丸の俺達の話だが」





意外にも、和泉守だった





和泉守「……裏切んだよ。主を」





厳かに響いたその声に、Aはさかんに瞬きをする





『主ではなく、見習いに仕えるということか』



和「まぁ、そういうことだな…」



『なるほど。それは面白い』



乱「え?」




Aは穏やかに首を傾ける





『仕える主を選ぶなんて、刀の身ではできない。人型だからこそできることだぞ』



歌仙「確かにそうかもしれないけど…」



『そうだ、ついでに見習いをあと二、三人呼んで選択肢を増やすというのはどうだ?』



燭台切「何のついで?!」



三日月「有り得ぬことだが、もしそれで俺達が見習いに寝返ったとして、Aは何とも思わぬのか」





瞳に浮かぶ月が、静かにAを見つめた





『…嫌とは、思わないな』



全「っ!!」





それを聞いた何人かが顔を歪ませる


本当は、嫌だと思ってほしかった。

裏切ったら許さないと言ってほしかった。


自分たちはAにとって、裏切られても何とも思われないほどの存在だったのか。





『だって、お前たちが仕えたくない人間に無理して仕えているほうが、もっと嫌だから…な』



愛染「それって…」



『だから、もし見習いのほうがいいと言うのなら、私は去ろう』





その言葉を聞いて、全員がはっとする


Aは真実自分たちの幸せを願っているのだ。


彼女自身の感情は押し殺して、心から。





『っ……』





微かに揺れる少女の瞳を見て、彼らは心に決めた




何があっても、誰に頼まれようとも、決してAを裏切らないと

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作者名:葛の葉 | 作成日時:2018年5月17日 0時

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