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27_疑念・四 ページ39

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「着いたぞ、荻花洲だ」

『こんな陳腐な木の下で待ち合わせか?もう少し目立った何かがある場所がいいだろうに』

「丁度そこに橋もかかっているし、納屋もある。遠目からの目印ならあれで充分だ」


モラクスが示した先には、ぼろくて誰が管理しているのかすらわからないが、確かに橋もあれば小さな納屋もあった。なるほどと頷く。あれを目印に近くまで来ることが出来れば、こちらからも声をかけられるだろう。

まだ日があるうちに顔を合わせられればいいのだが、と、もう水平線の辺りにまで落ちている日を見て思う。

横には相変わらず一本の柱のように微動だにせず、一冊の小難しそうな本を持ち、木陰に立つモラクスがいる。

急いで家から出て来たAは、当然暇潰しの道具など持っているはずもなく、静寂が流れるこの場でただ一つ溜息を吐いて、適当に暇が潰せる物はないかと辺りを散策する事にする。

そういえば、少し先に進むと、道なりに竹が群生している土地もあったな。

細竹も紛れていた。転移なら行って帰るくらい造作も無いだろうと考えて、思い立ったらすぐ行動。Aはあっという間にその場から消えてしまう。

モラクスは、そんなAに見向きもせず、ただ青筋を立てるのだ。

すると、遠くから何か陽気な話し声が聞こえてくる。

この近くはこの時間にもなれば人通りもめっきり減るので、きっと空だと思い、読んでいた本を閉じ、懐に閉まってから顔を上げる。


「おーい!鍾離ー!帰ったぞー!」

「鍾離先生ー!」


案の定そこには、こちらに手を振る空とパイモンの姿が見えたので、まだ帰ってこないAは、端からいなかったものとして、当初の約束通りに話を進める事にしたモラクスだった。


——————

Aが荻花洲に着いてからじっとしていた時間、およそ2分。待てと指示しなかった鍾離の落ち度でもありますね!

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もぶ - たぬき印さん» うわあああ、返信ありがとうございます!!めちゃくちゃ面白いです!!!少しずつ明らかになってくの楽しみです...!!! (2022年9月10日 22時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - もぶさん» ここまで見てくださってありがとうございます!これからも2人の関係は少しずつ深掘りしていく予定なので、引き続き楽しんでいただけると幸いです! (2022年9月9日 1時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
もぶ - うーーん、鐘離先生と夢主君の関係が好きぃ...お仕事頑張って下さい!!更新首を長くして待ってます!! (2022年9月8日 1時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - はなさん» 2話投稿時には既に修正しておりました。恐らく更新による時差かと思います。ご迷惑おかけしました。 (2022年2月13日 16時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたってますよ……! (2022年2月13日 4時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たぬき印 | 作成日時:2022年2月12日 2時

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