03_争闘・間 ページ19
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それが大した物なのか大した物じゃないか判断するにはその物事について詳しくある必要があるわけだが、先程言ったように俺はさして植物に詳しいわけではない。
そして学ぼうとも思わなかった。
その怠慢の招いた結果というべきか、道中公子殿が何やら花を摘んでいたのは見ていたんだ。
それがどんな用途で使われる物なのかすらわかっていればこのような展開になることを予測出来ただろうに。
「ハァッ!!」
『おっと』
人が考え事をしてるというのに遠慮なく突進してくる公子殿。咄嗟に草元素を操り、木の葉で視界の制御をしたのち風で周りの水を拡散し、公子殿に水元素を付着させる。そこへ雷元素を微弱ながら流し込んでみる。
近距離戦が得意の公子殿に、中距離戦が得意な俺の法器ではどうにも相性が悪い。
だからほんの少しでも動きが鈍くなればと俺は思ったのだが、どうもこれでは効き目がないらしい。
「回避だけじゃダメだよッ!!」
『考え事をしていてね』
「あハッ!本当に目が見えてないのか分からなくなるよ。ちゃんと効いてるんだろう?」
『勿論。公子殿にもコレをかけて共有したいくらいには』
先程公子殿から没収し、握りしめていた薬瓶をちらつかせる
「返して欲しいんだけどなぁ…」
『さてどうしようか。風で薬もろとも拡散すれば…』
「冗談抜きで恐ろしいこと考えるよね」
『相手が公子殿だから』
「酷いなー。傷つくよ?それ」
カラカラ笑いながらも、纏う雰囲気から伝わるその表情。いつ俺に攻撃を仕掛けるべきかウズウズしているのだ。
風が峡谷をすり抜け、川に乗り、大樹にぶつかり、葉が落ちた時。
いつ、どうやって回り込んできたかも分からないほど巧妙に距離を突き詰め、一太刀…
「逃げられるかな!!」
『ふ…』
しかし、その強大な攻撃は掠ることもなく受け止められる。法器で受け止めた訳ではない。
「槍…!一体どこから!!」
カキンッと鋼鉄がぶつかり合い、火花でも散らすかの如く槍を撃ち合うが、今まで近接にてまともに戦った事がなかったゆえに、今日改めて槍を使い戦ってみた感想としては"厄介極まりない"と言ったところか。
水の双刀による攻撃を一度でも受けてしまえば、恐らく関節ダメージが発生し、幾度と連鎖させるだろうその攻撃により、俺は下手に出れないのだ。
双刀を受けると、槍から腕にまで響く重み。
凡人にしては力が強い。
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もぶ - たぬき印さん» うわあああ、返信ありがとうございます!!めちゃくちゃ面白いです!!!少しずつ明らかになってくの楽しみです...!!! (2022年9月10日 22時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - もぶさん» ここまで見てくださってありがとうございます!これからも2人の関係は少しずつ深掘りしていく予定なので、引き続き楽しんでいただけると幸いです! (2022年9月9日 1時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
もぶ - うーーん、鐘離先生と夢主君の関係が好きぃ...お仕事頑張って下さい!!更新首を長くして待ってます!! (2022年9月8日 1時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - はなさん» 2話投稿時には既に修正しておりました。恐らく更新による時差かと思います。ご迷惑おかけしました。 (2022年2月13日 16時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたってますよ……! (2022年2月13日 4時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬき印 | 作成日時:2022年2月12日 2時