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11_飽和・四 ページ11

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その瞬間、火蓋が切られたかのように本来の姿になるモラクスを前に、俺は何も出来ずにいた。

第一に、今の俺はもう神であるその姿になっていること。

第二に、力を失っていること。

第三に…


「なんだ、俺の神気にあてられでもしたか?」


ふん、と鼻を鳴らしながら問いかけてくるモラクスを気にかける余裕すらない。

通常であれば、半精神生命体である体をあらゆる邪気から保護する為に気を常に張り巡らせているのだが、今の俺ではそれすら保つのが難しい。

その強烈なまでに濃い神気を直に受けるためか、肌が焼けるように痛い上に、明確な悪意と邪気を持っている物であるから更にタチが悪い…。


『モラクス、せめて鍾離の姿で戦おう!!俺がキツい』

「抜かせ。然程応えてはないだろうに」


ダメか。

元々ダメ元での提案だったが、当たり前のように飲み込んではもらえなかった。

刹那、モラクスがどこからともなく出現する槍を握り、軽く地面を蹴りこちらめがけて攻撃を仕掛ける。

俺も武器を出し、攻撃の隙をつきモラクスの首元に槍を突き立てようとするが、そうすることを分かっていたとでもいうように、モラクスの槍が軌道修正されなんなく攻撃を防がれてしまう。

その上、腹に向かうモラクスの膝に、どうにか受身を取ろうと体を動かそうとするが、それも叶わず真っ向からその蹴りを受けることとなった。

重い一撃だ。


『カハッ!!!』


かろうじて鳩尾には入らなかった物の、腹を鉄の棒に射抜かれたような鈍痛に襲われ、一瞬息の仕方を忘れそうになる。

これほどの軽傷で済んでいるのは、俺が半精神生命体だからだ。もし凡人であるAの時に今の蹴りを喰らっていたらどうなっていたか。想像もしたくない。

どうやらモラクスは、俺が如何に弱体化していようと全く手加減するつもりはないらしい。

そのことを悟り、俺は出来うる限りの力を解放した。


——————


次話)血の表現などはないものの、少々不快になるかもしれない痛々しい描写があります。

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もぶ - たぬき印さん» うわあああ、返信ありがとうございます!!めちゃくちゃ面白いです!!!少しずつ明らかになってくの楽しみです...!!! (2022年9月10日 22時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - もぶさん» ここまで見てくださってありがとうございます!これからも2人の関係は少しずつ深掘りしていく予定なので、引き続き楽しんでいただけると幸いです! (2022年9月9日 1時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
もぶ - うーーん、鐘離先生と夢主君の関係が好きぃ...お仕事頑張って下さい!!更新首を長くして待ってます!! (2022年9月8日 1時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - はなさん» 2話投稿時には既に修正しておりました。恐らく更新による時差かと思います。ご迷惑おかけしました。 (2022年2月13日 16時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたってますよ……! (2022年2月13日 4時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たぬき印 | 作成日時:2022年2月12日 2時

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