虹色恋話 其ノ伍

姫君の寝床 2 ページ14

「なぁ‥嬉しかった？」


ソファに腰をかけると、すり寄るように流星が顔を寄せてくる。


「ん…嬉しくないはずないやん？」


そう答えると満足そうに笑う流星。

その、笑顔に余裕すら感じられて、少しだけムカついた。

イケメンの余裕ってやつか？


「なに？」

「なんでも‥よかったって思って」

「うん‥これで‥」


「神ちゃんとずっと一緒に居られる‥」


「え？」


流星の言葉に思わず顔をあげると、柔らかいキスが落ちてくる。


「‥んっ」

優しい‥流星はいつでも優しい‥。

スッと離れた流星の体温が寂しくて思わず背中に手を回した。


「めずらし…」


そう言いながらも流星はきゅ‥と頭を抱き込んでくれる。


「デビューしてええんや‥」

「うん‥」

「俺たち‥七人でデビューしたんやな‥」

「何か‥不満？」


不満なんてあるわけなかった‥あるとしたら‥。


「不満なんてないけど‥俺も‥一緒でええのかな‥って不安はある」

「神ちゃん居らんとダメやろ？」

「けど‥」

「悔しいけど‥シゲのシンメやし」

「でも‥」

「歌もダンスもピカ一やし」

「流星‥褒めすぎや‥え？」


不意にフワリと頭に乗せられた暖かい掌。




「何？神ちゃんまた何かくら〜い事考えてるんやない？」

これだから流星は嫌いだ‥すぐに自分の考えてることを読まれて先回りされてしまう。

いつもはボケっとしているくせに、こういう時だけ勘が働く。


「あ‥」

「考え込むんやないって‥」


そう言って頭をぽんぽんと叩かれた。


「俺‥昔‥相当やらかしてたし‥」

「なに？あれ？自覚あったん？」

「‥当たり前やろ？」


時折嫌になる‥自分のネガティブさを‥弱さを隠すために周りにメチャメチャ厳しい態度をとっていた自分。

「みんな神ちゃんの事、怖い言うとったなぁ」

「やっぱり‥」


ホント嫌だ‥こんな自分。

シンメのシゲがどんどん単独で仕事を貰って‥一人取り残された自分が惨めで‥周りに当たり散らして不貞腐れていた時期もあった。

最初の4人のメンバーが、この７人で絶対デビューしたい‥って言ってくれた時だって‥。

無理に決まってる‥とか、自分の事しか考えていなかった。

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