背伸びが下手くそな俺のいとこ【うらたぬき】

第２９話 ページ29

本日は日曜日。高校は勿論、バイトや部活などをしていない私は一日家にいるつもりで、打ち合わせがある渉くんを見送ったのが２時間前のこと。

ピコン♪

渉くんA!リビングに打ち合わせの資料ない!?
渉くんクリアファイルに入ってる!

LINEが届いてリビングをぐるりと見渡すと……

Aこれですか?
Aソファの上にありました
A写真
渉くんそれーーー!!!
渉くん今日の打ち合わせで必要なんだよ!
渉くん場所送るから持ってきてもらえる…?

まぁ特に用事もないし…。

A大丈夫ですよ、持って行きます





『うわぁ…………緊張する………』

という訳で今私はビルの目の前におります。

『うーんと…？』

確かこの建物の４階………よし。階段で行こう。

４階に着くとたくさんの部屋があり、何処も打ち合わせなどを行っているらしい。

というかジロジロ見られてるのは気のせいじゃないよね、若い女がこんなところで何してるのって感じですよね。

…早く渉くんに部屋の場所を聞こう。



そう思ってスマホを開いたその時。



「なぁ、」

『っ！？……あ、私…ですか……？』

「そこで何しとんの？」

男子トイレから出てきた男性に声を掛けられた。

『ぁ、あの……、い、従兄妹の、忘れ物を届けに…っ………』

「そんな見え透いた嘘に騙されるとでも思っとんか」

突然見知らぬ男性に声を掛けられて………、



───────いや、違う。



『っ、ぁ……………』



剥き出しの敵意に満ちた"瞳"に、



声が、足が、震えた。

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