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第13話 ページ13

う「ありがとな、A。これからの時期に着れそうな服何着か買えて良かった〜。」

『こちらこそありがとう。大切に着るね。』

あの後、無事に洋服を買い終えた俺達は帰路に着いた。



う「………あ。…A、A。」

『ん?』

最寄駅から俺の隣を歩いていたAの名前を呼んで、ゆっくりと足を止める俺に合わせてAも足を止める。

う「…上、空見てみ。」

『……っ…………わぁ……!』



空一面広がる夕焼けは、暖かい色をしていた。



う「俺の友達に空見るのが好きな人がいるんだけど、皆にも空にちなんだ名前で呼ばれててさ。」

『あ、もしかしてそれ"そらる"さん?』

う「あれ?知ってたの?」

Aがそらるさんの事を知っていたのが意外で思わずAの顔を見つめる。

『渉くんが"歌い手"だって教えてくれた後、少しだけ調べてみたの。曲も聴いてみたんだよ。』

Aは少し照れたように笑って、鼻歌を歌い出す。



『ふふん ふふふん ふーん、ふーん…』

綺麗な白い肌。長いまつ毛。小さな口。



『ふーんふふーん…』

儚げな、今にも消えそうな声。



君が飛び降りるのなら 僕は。

う「…笑って一緒に飛び降りる〜」

『……え、』



止めてくれるとでも思ったか。
僕らの絆を見くびるか。



彼女は、どんな気持ちでこの曲を聴いていたのだろうか。



う「…今日楽しかった?」

『……?…うん。』

う「…少しずつ。焦らなくて良いからね。」



う「ちゃんと俺、隣にいるからね。」



俺なんかが君の力になれるなんて、そんな大層な事思ってないけれど。



『……ありがとう。』



そうやって笑ってくれるなら、俺は何だって出来ちゃうと思うんだ。
嘘じゃないよ。









しかし、Aの心の傷はそう簡単に癒えるものではないのだと、痛感する日々は始まったばかりだった。

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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月6日 12時

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