_ 雨 の ち 晴 れ の 虹 。 ページ25
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「 ねね、ここの振り付け教えてくれんー？ 」
俺はそうやって声を掛けてん。
今、目の前でダンスの練習をしとる姫宮Aに。
気付けば、俺の他にも5人居った。
本当ならば声を掛けるなんて事はするつもりもなく、
理解すらしようと思っていなかった存在。
だから、ほとんどのみんなは彼女は"居ないもの"として扱っていた。
それでも、彼女は強くて圧倒的な存在感をまとっていた。
俺らが認める他ないくらい。
今まで無視をしとった俺たち。
今更何なの、と言われるかもしれないが、それでも彼女と向き合いたかった。
彼女の裏での努力と、それに比例する実力に圧倒され、彼女と仲良くなりたいと思い始めていた。
初めて彼女を理解した日には、雨が降っていた。
降りしきる土砂降りの雨が、音を立てて鳴り響く廊下。
雨が酷く、みんな早く帰ろうと足早にレッスン室を去った。
俺は用事があった為、みんなより遅く帰ることになった。
そんな中。
今日使っていたレッスン室ではないところのドアが開いていて、廊下にその光が差していた。
興味本位でそーっと覗くと、そこにはAがいた。
何度も何度も同じところを踊り直しとった。
でも、回数を重ねる度に彼女のダンスの精度は増していった。
その後も踊り続け、アクロバット等の練習もしていた。
俺はその時、彼女に魅了されてしまった。
普段は底抜けに明るく、ただただヘラヘラと日々を過ごしていた。
いつも元気すぎるテンションだし、嫌ですよアピールしとる俺らにも普通に関わってくるぐらいにはメンタル強いし。
いや。そう思っていたのは俺やねんな。
だからこそ、彼女の裏での努力に魅入っていまって。
1人残って練習しているAはとてもかっこよくみえた。
彼女のダンススキルは関西一といっても過言ではないくらいまで凄いのはきっとこういう努力あってこそだ。
その日以降、毎度の如く俺も残ってA見に行った。
そしたら同じように練習するAの姿があってん。
目に見えて実力を付けていくA。
俺もそれを見てより頑張らなぁ、と思った。
そういえば、途中から今日Aに声掛けたメンバー5人も一緒に見とったな。
ある程度見たら俺らも練習始めるねん。
しかもそれを見た日から全員欠かさず見に行くねんで？
そのくらい、俺ら6人ともAに魅了されたってことやな。
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_ 温 か い 夢 に 溺 れ る 。→←_ 雨 音 が 止 む 頃 に は 、
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