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さっき。
Aが俺に向けてくれた笑顔を見た瞬間、心にぽっかり穴が空いた気分に陥った。
なんでこんな良いやつが苦労してんだろうな。
…全部俺のせいだっつうの。
「……ごめん。」
自分で言うが、俺は自分勝手なのだ。
気に入らないことがあれば人に当たるし、ゴミ人間だし、Aにだって迷惑かけちゃうようなやつだしさ。呆れるよなほんと。はは。虚しくなってくる。
でも、俺に純粋に笑いかけてくれるAが、どうしようもなく愛おしく見えるのだ。
握っていた手に少し力を込めて。片方の手で頭を撫でた。
お前、優しいよな。
俺みたいなヤツにも、こうやって手握ってくれて。
まだ、笑ってくれていた。
拗れに拗れて。形になってしまったことを許して欲しい。
Aに俺を見て欲しかったのだ。
小学生かよって思われてもしゃーない。俺がやってたことってそんなもんだ。
騙して嘘ついて、俺のことを信じてくれてたA裏切って。
きゅ、と縮こまってくる心臓が痛かった。
結局こいつのこと傷付けてさ。はは。笑えてくる。泣けてくる。
そう、俺は馬鹿だった。自分でやっといて自分で傷付いてる。
一番辛かったのは、Aではないのか。
『……ん…』
小さな声が聞こえて。
「…あ、起き、」
そう声をかけようとした時だった。
『テヒョン!!!!』
いきなりAがガバッと顔を上げた。
…寝起きなのに勢いあるな。尊敬する。
「おはよ。」
『……え?…うん?……あ、あれ、テヒョン?』
「うん。キム・テヒョン。おはよう。」
『あ、おはよう……
じゃなくて!!大丈夫だったの!?』
そう俺の肩を掴んで前後に揺らしてくるA。
…あれ。
俺、もしかして心配されてんの?
『て、テヒョンいきなり倒れたからおんぶして運んだんだよ!!ううっ!心配したわ!!』
.
.
きゅうっと心臓が高鳴る音がした。
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あひる(プロフ) - うぎゃあ…!最後の方は胸がキュンキュンしっぱなしでした (2019年7月16日 19時) (レス) id: 38339f5ea3 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - ミロさん» ミミミミミミロさんじゃないですか…!!密かに大ファンをやらせて頂いてます、コメントしてくださり有難うございます…!!これからも頑張ります! (2019年7月15日 17時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - いつき様 完結おめでとうございます(o^^o)影ながら読ませていただきましたが、すごくすごーく面白かったです(//∇//)ハラハラドキドキで最高でした!!これからも応援してますっ!(*^ω^*)素敵なお話をありがとうございました!! (2019年7月15日 12時) (レス) id: e16d743026 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - ふぃさん» ありがとうふぃちゃんんん!!えへへ、いつも見てくれてありがとね。愛してるわよん!! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃ(プロフ) - うわんおめでとういつちゃん!!!! (2019年7月13日 12時) (レス) id: 2a412b3300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いつき x他2人 | 作成日時:2019年6月24日 22時