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｢あ、伊野ちゃん。｣
｢光。｣
体育祭が明日に迫った今日、帰り支度をしていた俺は光に呼び止められた。
｢どうしたの？何か用事？｣
｢これ、明日の体育祭のプログラム。伊野ちゃんの好きなタイミングでチアガールの衣装着てもらっていいから。｣
光から渡された紙の束。
｢これ…生徒会用って書いてあるけど…。｣
｢あー…生徒会用のをそのままコピーしたからね…。まあ、中身は一緒だから気にしないで。｣
｢うん…ありがと。｣
パラパラ紙をめくると明日の予定が事細かに記してある。
｢…ごめんね、勝手に伊野ちゃんを商品みたいにしちゃって。｣
｢…そんなに気にしてないよ。｣
嘘、ほんとは大分キツい。
本当は許されるなら体育祭休みたいくらい。
まあ、休んだところでどうにもならないんだけど。
｢…極力頑張るよ、幸い運動は得意な方…だと思ってる。｣
｢…じゃあ期待しとくね。｣
体育祭のプログラムを鞄にしまう。
｢うん。…だから、応援よろしくね。｣
｢了解。｣
｢呼び止めてごめんね、大ちゃんと帰るの？｣
｢んーん、今日は一人。｣
珍しく皆が皆予定あるっていうから。
確か侑と裕子は衣装係だから衣装の最終チェックするって言ってたし、大ちゃんも応援団の練習があるらしいし。
薮と光は生徒会あるし。
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｢じゃあ、送って行くよ。丁度仕事終わったし。薮も誘おうか？｣
｢え、あー…。｣
ハッキリしない俺の態度で察したのか、光は笑みを溢して
｢ふふっ、薮には悪いけど二人で帰ろっか。｣
そう言ってくれた。
｢…ほんと、ありがとね光。｣
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作者名：さくらもち
| 作成日時：2017年8月14日 1時
