続)俺がヒロインやってるのはどう考えてもおかしい！Yb×In (ページ43)

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「ねぇねぇ、薮。後ろにいるラブホリ王子みたいなの何？」

「うーん、残念ながらこれラブホリ王子なんだわ。」

「わー、帰ってもらっていいですか。あ、俺が帰ればいいのかな？」

「伊野ちゃん照れなくてもいいんだよ？」

「マジでうぜぇ。」

ほんとに来やがったよコイツ。

「あれ、健人も来たの。」

「うん、伊野ちゃんに会いたくて！」

「わかるー、伊野尾君可愛いもんね。」

おい、会話噛み合ってねぇぞ。

…あ、これうまくいけば髙木を健人に押し付けられる…？

チラッと薮の方を見ると同じ事を考えてたみたいで。

「丁度いいや。健人、雄也に勉強教えてやって。」

「え、俺伊野ちゃんに教えたくて来たんだけど。」

「俺頭いいんで大丈夫デース。」

そそくさと裕子の後ろに隠れる。

「そんなこと言わずに…。」

「これ以上邪魔するならつまみ出すけど。」

見事に薮とハモった。

「すいませんでした。」

珍しく健人が素直だ。

「…伊野尾ちゃん、此処わかんない。」

「え。」

俺の名前を呼んだのは大ちゃんではなく、山田だった。

「あれ、知念は。」

「知念は今日予定があるからって帰ったよ？」

まともに圭人と言葉を交わしたのはこれが二回目かもしれない。

「は。」

じゃあ今日は大ちゃんと山田を俺が捌かないといけないわけ？

「何で帰ったんだよ知念…！」

「あ～、今日知念の好きなアイドルが出る日だ。」

裕翔の言葉にちょっと知念に怒りが沸いた。

「…まあいないなら仕方ない…。で、どこがわかんないって？」

「此処。」

よく見たら山田がやってるプリントは学校から配布されたものではなく、薮が作った山田用対策プリントだった。

「あ～、山田この公式苦手なんだ？」

「うん、理解不能。」

「テストまでに理解してもらわなきゃ困るんだけどな。」

困るのは俺じゃなくて山田だけどな。

「…薮君の目線が滅茶苦茶痛いんだけど。」

「薮、ただ勉強教えてるだけなんだからそんな睨むなよ…。山田が可哀想だろ。」

「ちょっとお似合いなのが腹立つ。」

「俺侑しか眼中にないから！」

「ほんっとに腹立つな。俺だって山田なんかお断りだわ。」

何か知らないけど、昔から山田とはソリが合わない。

喧嘩するほど仲が良い…なんて諺もあるけど、俺と山田には絶対当てはまらない。

…まあ、嫌いじゃないけどね？

…けどなんか合わないんだよなぁ…。

決して仲良くしたくないとか、そういうわけじゃないのに…。