続)俺がヒロインやってるのはどう考えてもおかしい！Yb×In (ページ17)

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ほぼ放心状態のまま応援して、気づけば最終競技。

点数のパネルはどの軍も五分五分といったところ。

どのチームが勝っても可笑しくない。

けど段々どうでもよくなってきた。

…今の俺最高に無気力だな。

｢伊野ちゃん！｣

俺を呼ぶ声で意識が引き戻された。

｢…あ、大ちゃん？｣

｢ずっとぼーっとしてたね？そろそろリレーも終わるから…どの軍が優勝か決まるね。｣

｢…そうだね。｣

｢…わかってるの？伊野ちゃん。このリレーが終わったら…。｣

わかってるよ。

けど、今はそれどころじゃないんだよ。

｢…大ちゃんならさ、俺に何をお願いする？｣

｢勝ったらってこと？…俺は何もお願いしないよ。｣

｢無欲だねぇ…。｣

俺には大ちゃんが眩しく見えた。

髙木も薮も、そして俺自身も私欲のために体育祭を頑張ってきたから。

｢…俺がもし女装してなかったら、こんなことにはならなかったのかな。｣

｢…どうだろうね。伊野ちゃんが女装してなくても、薮ちゃんは伊野ちゃんを好きになってたかもしれない。伊野ちゃんが女装してなくても、髙木は伊野ちゃんを好きになってたかもしれないよ？｣

大ちゃんの言葉に何も言えなかった。

もし(if)の話はもし(if)でしかないから。

パァン、と競技終了の合図が鳴る。

…結局どの軍が一位だったんだ…？

ゴールの瞬間を見逃したし、最終競技の後はそのまま閉会式だから順位整列もしないし。

｢行こっか、伊野ちゃん。｣

｢…うん。｣

不安が渦巻く中、大ちゃんと並んで自分の軍へ戻った。