443、�睫斃彩� ページ22
「おーっす、Aちゃん。」
雄也先輩とは家の近くのカフェで待ち合わせ。
…正直、雄也先輩との思い出の場所って思い付かなくて…。
『お久しぶりです、雄也先輩！』
「皆のとこ回ってるんだって？」
『はい。…そういえば私、雄也先輩にお礼言わなきゃいけないんですよね。』
「俺、何かしたっけ？」
首を傾げる雄也先輩は本当に心当たりがないのか…それとも忘れてるのか…どっちにしろあれは善意でやってくれたんだなぁ…。
…ちょっとイケメン過ぎない？
『もうすっごい昔なような気もしますけど…私が連れ去られそうなとき、涼介に連絡してくれたの、雄也先輩なんですよね。ありがとうございます。』
雄也先輩は一瞬きょとんとしたけど、すぐに思い出したみたいで。
「ああ、あの時の…。いや、お礼を言われるようなことじゃないよ。結局、助けきれなかったわけだし…。」
『でも…あの時私と涼介喧嘩みたいなのしてて…。もしかしたら助けなんて来ないかもって、思ってたんです…。』
涼介を信じきれなくて…すごく不安になって…。
『もしかしたら、ってそればっかり頭の中を支配してて…怖くて…。涼介が助けにきてくれたとき、嬉しかったんです…。雄也先輩が連絡してくれなかったら…。』
全部収まった後、雄也先輩から本当のことをきいて…不安以上に嬉しくて…。
『それに、今こうして幸せじゃないですか。だから、私は感謝してますよ。』
「…そういうことなら、ありがたく受け取っておくね。でも、俺が連絡しなくても…絶対に山田はAちゃんを助けに行ったよ。それだけは断言できる。」
雄也先輩はニッコリ笑ってそう言った。
…やっぱりイケメンが過ぎるんじゃない？
「…俺はさ、正直難しいこととか、Aちゃんや山田の立場とかよくわからないし…今どういう状況なのかもわかってない。けど…二人には幸せになってほしいな。大事な後輩だし、大切な人達だから。」
一度言葉を区切って、雄也先輩は私と目を合わせた。
「ごめんね、俺馬鹿で頭悪くて…ありきたりでありふれたことしか言えないけど…。頑張って、Aちゃん。」
『…はいっ、ありがとうございます！』
確かにありきたりでありふれた言葉だ。
でも、それでも…。
大切な先輩から言われた言葉なら、どんなに貴重な言葉より心に響く。
さてと…では忙しそうな大学生さんに会いに行きますか。
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作者名：さくらもち
| 作成日時：2017年5月10日 18時
