441、岡本圭人 ページ20
「なんか、会うの久しぶりな気がするね。」
『そうですね。最近、色々あって濃かったからですかね。』
「そうかもしれないね。…思い返しても濃かったもんね…。」
二人で最近のことを思いだし、私は二度この人に告白されたことを思い出す。
『…あの、圭人先輩。私…。』
「あー…ごめん、ちょっと待ってほしい。」
『え。』
待った、をかけられ私は思わず驚く。
「…俺の予想が正しければ、これから告白を断られる…そうじゃない？」
苦笑いを浮かべながら圭人先輩は答える。
『…正解、です。』
「だよね。いや、うん…知ってた、けどさ。Aちゃんが山ちゃんを好きなのは。…ずっと、見てたから。…でもね、うん。心の準備をさせてほしい。」
『わかりました。』
それから圭人先輩は深呼吸をして、数秒の間をおいて口を開いた。
「いいよ。言ってほしいな。」
『…はい。ごめんなさい、圭人先輩。私は、圭人先輩とは付き合えません。』
座ったままだけど、深くお辞儀をした。
「Aちゃん！？そんなかしこまらなくていいって、頭あげて！？」
『…本当に、嬉しかったんです。はじめて告白されて、それが憧れてた圭人先輩からで。…でも…どうしても、涼介が頭から離れなくて…。』
「うん、いいんだよ。あわよくばって気持ちはあったけど…多分無理だろうって心の何処かで思ってたから。それに、今日の本題はそれじゃない。」
圭人先輩は私の両手をとると、目を合わせて微笑んでくれた。
「Aちゃん、一日早いけどHappy birthday。Aちゃんのやろうとしてること、なんとなくだけど理解してるつもり。…君の未来に幸あれ。…って、使い方あってるかな。」
『…はい、ありがとうございます。使い方も、あってますよ。』
多分、あの濃い日々を送る前の私なら、今の圭人先輩の行為にも照れていただろうけど…。
もう私の心は決まってる、もう揺らがない。
「まあ山ちゃん相手じゃ勝ち目ないよねぇ…。山ちゃん、完璧人間だし…。」
『でも圭人先輩だって素敵な人ですよ？きっといつかお似合いの相手が見つかります！』
「だといいなぁ。…Aちゃん、幸せになってね。本当に。」
圭人先輩の笑顔は本当に癒される。
『そうですね…。全てが上手くいったら、幸せになれると思います。』
「なら、全力で応援させてもらうね。…応援は俺より適任の人がいるけど。」
『ふふ、じゃあエール、もらってきますね。』
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作者名：さくらもち
| 作成日時：2017年5月10日 18時
