傷を抱えた私達は (ページ45)

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しばらく2人抱きしめあったままでいて、徐々に恥ずかしくなってきて離れる

「帰ろっか」

『そうだね』

2人1緒に教室を出る

廊下にリュックを投げ捨てていたことをすっかり忘れていて恥ずかしくなる

ガサツだと思われたかな

まぁ、素を隠して付き合ったって意味無いか

そうだ。ありのままの自分を好きでいてもらわなきゃ意味が無い

磁石のようにまたすすすっと草川くんの隣へと行く

「ねぇ」

『うん？』

「手繋いでいい？」

そう言われた途端手から汗が吹き出てきた気がしたけど、それよりも私も手を繋ぎたいから

『うんいいよ。』

手を差し伸べた

草川くんの手は思っていまよりも大きくて、私の手を包み込んでくれた

もう夏だから暑いけれど幸せだからいい

『みんなに報告しなきゃね』

きっと草川くんが越えなきゃいけない1番の壁が海への報告だと思うから敢えて口にする

私がいるから独りじゃないよという思いも込めてぎゅっとさらに手を強く握った

「大丈夫。海はそんなに器の小さい男じゃないし草川くんのこと応援してたからさ」

応援してたという事実が少しでも草川くんの救いになればいいなと思い言ったはずが

「俺さ、まだまだAちゃんのこと知らないけど海とか稜雅に負けないからな」

嫉妬したらしく可愛い顔して独占欲を出してきたから思わず笑ってしまう

『お互いのことはさ少しずつ一緒に生きて知っていこう。まだまだ先は長いんだからさ』

焦らなくたっていいよ。ゆっくりお互いを知っていこう

この数ヶ月間でお互いを少しずつ知っていったように

と過去をふりかえっているとひとつ引っかかることが出てきていきなり不安になる

そういえば、最初に言っていた

"やめて、捨てないで"ってこれなんだったんだろう？

柊生に明かされた過去の中には何もそれらしきものはなかったんだけど…