傷を抱えた私達は (ページ29)

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はっきり見えた柊生の表情は傷ついた顔をしていた

[優しくしてるのは、Aのためだけじゃない。俺のためでもあるんだ]

正直、びっくりした

だっていつも笑ってるから

[悩み事ないことが悩みかな～]

って言っていたくせに

柊生は確実に心に傷を抱えていたから

『柊生のため…？』

私を助けると柊生のためになるの？？

[Aが覚えてるかわかんねぇけど、拓弥の過去の話をした時に濁したことがあるんだ

Aさんが好きだった人は拓弥を好きだったって言ったろ？

その拓弥のことが好きだった人って杏なんだよ]

『えっ…？でも杏は柊生と付き合ってるんじゃ…？』

[杏は拓弥を孤立させた理由が自分にあることを知ったあと、拓弥と両思いになることを諦めたんだ

その弱ってる時に漬け込んだのが転校してきて杏に一目惚れした俺ってわけ]

杏と柊生とは中学が違かったからどんな道のりを歩いてきたかなんて聞いたこともなかったし知らなかった

まさか、そんな過去があったとは…

[俺、不安なんだ。杏が拓弥のこと本当に吹っ切れているかわかんねぇし、俺のこと好きでいてくれているかもわかってない]

『好きじゃなかったら3年も続かないと思うけど…』

杏が柊生の話をする時はいつも楽しそうだし幸せそうなのに、それに柊生は気づいてないのかな？

[ま、そうなんだけどね。拓弥に彼女がいてくれれば△△は諦めるだろうし、俺のこと見続けてくれるかなーって。酷いやつだろ？俺]

ははって笑った柊生に私は笑い返せなかった

だって