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1ヶ月に渡る東京での撮影が終わった。打ち上げを終えてさあ二次会はどうしようか、なんて話題が飛び交い始める時間、亮くんは急いで帰り支度を始めます。
「今日中に愛知帰るん?」
「まだ帰らんよ? 始発で帰るつもり」
そのままAとデートする、とニコニコな笑顔を投げかけました。まーた惚気られた。
でも亮くんは十字架を背負ったが故に、身バレ防止のためAにデート禁止令を言い渡されたはずです。
「いいの? A許可してくれたの?」
「うん。写真を拡散しないように俺がファンの子に言い聞かす」
あとさ、と亮くんが続けたのはもう隠す気ないでしょ、と言わざるを得ない言葉でした。
「Aにもクレオパトラになってもらおうかなって」
「バカじゃん。目立ちすぎるでしょ」
でも凸凹カップルは若干頭がおかしいので、亮くんが渡したコスプレにノリノリで着替えてくるAが想像できます。
でもばっさり切り捨てるAも思い浮かぶので、どっちに転ぶかは亮くんの説得次第といった所でしょうか。できれば切り捨てに走ってほしいです。
「亮もう帰んの?」
それじゃあ、と別れようとすると、徹也が話しかけてきます。
「そのつもり」
「つまんねえなあ。紹介したい人おったのに……」
「紹介したい人?」
徹也はちょっと待っとって、と外へ出ていく。この瞬間僕は、いや徹也と亮くん以外のメンバー全員が頬が緩みそうになるのを必死に堪えたはずです。
数分後、徹也が戻ってくる。
「この人!」
「え……」
『久しぶり!』
徹也の後ろを着いてきたのは亮くんが会いたくて会いたくて仕方がなかったであろう、最愛の人です。
『職場に聞いてみたら3連休いいよって言ってくれて、来ちゃった!』
長かった髪の毛が鎖骨あたりまで短くなり、大人っぽさが増した。
「会いたかった」
『私も!』
2人はどこからともなく抱きしめ合います。周りがどうとか、関係なく。
「なんで電話してくれんかったの?」
『声聞いたら会いたくなるやん? あと忙しかった』
「俺は声だけでも聞きたかったよ……」
亮くんの腕の力が静かな弱音とともに、微かに強くなったように見える。
『苦しっ……』
「Aが悪い……」
Aに会いたい亮くんに仕掛けたサプライズは大成功に終わりました。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時