東海の凸凹

またの名を。 ページ3

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Aちゃんとりょうくんは家がご近所さんの幼馴染で、生まれてから今までずーっと一緒にいるんだとか。

幼稚園、小中高でも仲良しで大学で分かれるまで1度も別々になったことがない、と酔っ払ったりょうくんに教えてもらいました。とても自慢げに。



『私のこと好きすぎん？』


「そりゃ好きだわ。本当はずーっと一緒にいたいもん」


『何それー！！ 可愛いー！！！』


あーあ、拗ねちゃいました。

りょうくんが185cmの高身長でイケメンで大人っぽいのは誰もが知る所でしょう。

対してAちゃんは年上だけど150cmの低身長、童顔で綺麗よりは可愛いがよく似合う女の子です。体格差もあるのでりょうくんがお兄さんに見えます。

でも実際はAちゃんが年上ぶりを発揮してるんですよ？ 意外にりょうくんの方が子供です。

今もAちゃんが椅子の上に立ってそっぽを向くりょうくんの頬を小さな手で包み込み、無理やり自分の方に向けてジーッと見つめています。



「……何」


『可愛いけどね、亮はかっこいいよ。世界で1番かっこいい』


おうふ……

僕、場違いじゃないか……

甘々すぎて気分悪くなってきた。これは彼女に来てもらわないと。

でもムスッとしたハンサム顔がみるみるうちに破顔していきます。



「Aもめちゃくちゃ好きじゃん」


『そうじゃないと付き合わんよ』


「ああもう、可愛すぎ！！」


りょうくんはAちゃんの両脇を抱えて、メリーゴーランドのようにぐるぐると回り始めました。



『きゃーっ』


人の家で何やってんだよ、と思わんこともないけど、楽しそうならいいでしょう。



「今日泊まってもいい？」


『いいよ！ ご飯何にする？』


「んー、俺が作る」


見ての通り、2人は幼馴染でありカップルでもあるんです。



『楽しみにしとる！』


「美味しいの作るね。あ、A」


『ん？』


「……てつや、起こしに行こっか」


悪い笑顔にAちゃんもニヤニヤと笑い始めます。これが城西高校陸上部のノリってやつか。ハリセンと消臭スプレー、iPhoneを持って準備はできたらしい。



「虫さん、行ってくるわ」


「程々にね」


数分後、パチーンとハリセンが弾ける音とてつやの悲鳴が聞こえたのは言うまでもありません。

……でこぼこカップルはドSカップルでもあるらしい。

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