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咄嗟に支えてくれたのは、隣にいた竜雅くん。
小瀧の前で触れてほしくないのに
それでもありがとうと言わざるを得ない。
｢ごめん小瀧、なんか、言いたいこととかあった？｣
竜雅くんの手をそっと離して小瀧に近寄る。
彼は眉を顰めて、後頭部をガシガシと掻きむしった。
『あったけどええわもう』
｢…でも、探してくれたんやろ｣
『体育館真っ先に出てった理由がこいつとイチャつくためやろ？
統括せなあかんのにどうかと思うわ』
…………は。
『指示するだけして自分裏でコソコソ何してんの？
俺ら真面目にやってんのにさ』
竜｢おい、言いすぎや｣
イラつくのに。
すごくムカつくのに。
さっき出てこなかった涙がこんなに簡単に流れる。
ちぎられそうなぐらい痛かった。
小瀧にそんな目を向けられることがとても辛くて
他の何とも比にならないぐらい悲しい。
竜｢お前何も知らんくせ、｣
｢いい。竜雅くん。巻き込んでごめん｣
遠かった彼との距離を、自分で詰める。
泣くとは思ってなかったのか小瀧の目は泳いでいる。
ごめんね、呆れさせて。
こんなやつやと思わんかったよね。
でも、言葉だけは。
あなたに特別冷たくしたあたしの言葉はそのまま。
｢そう思うなら思っとけばいいんちゃう｣
｢すみませんね、不甲斐ない監督で｣
だから恋なんかするもんじゃない。
いつまでも自分が好きになれない。
小瀧の鋭い目は消えていた。
いつも通り…それ以上に目を垂れさせてあたしを見つめている。
『……ごめ、』
｢お疲れ。先帰る｣
走ってその場を離れた。
直後後ろから、何かと何かがぶつかる鈍い音が小さく聞こえた。
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月12日 21時
