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現代文の授業。
ご飯食べてからのこの授業は子守唄にしか聞こえん。
けどこの先生は生徒に問題を投げかけたり、
プリント配ってやらせるタイプなのでおいそれと寝れません。
それでも睡魔に勝てんと諦めてるやつは何人かおるけど。
他の誰かが当てられてる時、ふと重岡がこっちを向いた。
なに?と眉を上げてサイレントで聞くと
小さく折り畳んだメモが机に置かれる。
[ 次俺当てられる!五番の問題何? ]
…人任せかよ。
優しい優しいAちゃんは、ジュース奢ってなと
書いてから下に答えを書いてやった。
背中にメモの角っこをちょんちょんと当てる。
男子にしては小さめの手がそーっと後ろに回ってきて
メモを握った。
少し体を仰け反らせてわざとらしいリアクションをした
重岡を、先生が呼ぶ。
「はい重岡。次の問題の答えは?」
「イ!」
「正解。珍しいな」
後ろを向いてあたしを拝む重岡。
ジュースな、と小声で言うと渋そうな顔をして向き直った。
「次、6番の答え、A」
「ウ」
「正解や。あ、重岡お前Aに聞いたやろ」
「証拠はあるんですか証拠は!」
その筆箱の中に入れた紙見つかったらおしまいのくせに。
まぁええわってスルーされたからラッキーやったものを。
「じゃあ次小瀧…おいそれ以上成長してどないすんねん」
クラスから小さな笑いが漏れる。
後ろをちらっと見ると、腕を枕に目を閉じている小瀧。
まつ毛の長いこと長いこと。
おとぎ話のプリンセスか。
「すまんなA。小瀧の頭はたいたってくれ、
俺がやると体罰やなんや言われるからな」
え、ええ?あたしですか?
隣じゃなくて?
こんな注目浴びてる中で、あたしが起こすん?
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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時