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1週間が過ぎた。
キャストの皆は半分ほどセリフを覚えてきていて
大道具や小道具はまだまだ完成には遠い。



音響の竜雅くんともう1人の女の子には映画を見てもらい
使う音源、流すタイミングなどを覚えてもらう作業。
照明の子にも映画を見てもらい、映える照明の当て方を
考えてもらっている。



大変なのは衣装だ。
何せ美女と野獣はちゃんとした人間が出てくるのは少なく
道具たちを擬人化しなければならない。
予算内で収まるよう、また綺麗に見えるよう女子が奮闘している。



あたしの仕事は主にキャストの演技指導だけど
皆まだ台本片手に動いてるような状態だから
そのレベルまでいかない。



大まかな流れやセリフの間など気になるところだけ
ちょこちょこ伝え、基本は見守っていた。



結構ね、真剣にやってくれるからありがたいねん。



「Aさん、背景こんな感じで色塗ってってええ?」


「お!めっちゃいい!ありがとう重岡」


「まぁ描いたんほぼ俺ちゃうけどな!笑」


「何やねん笑 でも良いわ、綺麗やし」



わーいと子供みたいな声を上げて持ち場に戻ってく重岡は
結局大道具担当になった。
大道具の子も背景何枚か描いてもらわなあかんから大変や…



『Aさん』


「はいっ、」


『はは笑 元気やん笑 この台詞さ、夢原の顔見ながら
言うた方がええ?それともふてぶてしい方がええかな?』



アガってしまった。かっこ悪…
あれから余計小瀧の目見れへんのよな。



「んーそやな…ふてぶてしい方がええかも」


『おっけい、ありがとう!』



戻ってモカちゃんの隣に並ぶ小瀧。
やっぱお似合いや。



どう見ても、モカちゃんのが可愛い。



(( 俺夢原よりAさんのが可愛いと思うもん ))



今になって思い出す。
そんなわけないのに。
小瀧の言葉が、耳の奥でこだました。

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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時

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